自然の恵みを頂いて、精をつけて農作業を頑張れそう―。兵庫県丹波市柏原町田路の「畑遊びの会」(6人)が、スッポン料理で田植えの慰労をする豪華な「さなぼり会」を開いた。スッポンは、農作業中に捕獲した体長40センチほどの大物。会員たちは「肉ぷりっぷり」「コラーゲンがプルプル」と歓声を上げ、「うまい」を連発。えびす顔だった。
田ごしらえ作業中、上田和樹代表(55)が、何とはなしにほ場のそばを流れる北柏原川に目をやったところ、白っぽい肌色の物体が目に留まった。サイズが大きく、肥料袋の類が捨てられていると思った上田代表。「ごみを捨てるなよ」と苦々しい気持ちで近づくと、仰向けで手足をバタつかせて暴れるスッポンだった。かまれないよう、上田公一さん(68)が鍬で上半身をすくい、上田代表が下半身をつかんで捕獲。近くの居酒屋「丹波みなと」に預け、宴会に合わせて調理してもらった。
スッポンは、鍋にして味わった。腕、もも、首、コラーゲンの塊のエンペラ、肝臓、胃袋、卵と、丸ごと一匹味わい、うまみが詰まった雑炊で締めた。
上田代表は頭にかぶりつき、「鶏肉みたい。ぷりっぷりでうまい」と喜び、矢本規夫さん(68)は、「こういう楽しみのために、会をつくって農業をしている。収穫後でなく、始まりにごちそうにありつけ、幸先が良いったらない」と頬が緩みっぱなしだった。
捕獲場所は、同県立丹波年輪の里近く。北柏原川のそばを流れる柏原川はスッポンが生息している。田路自治会には昔からスッポン取りを楽しむ人がいた。大物捕獲は自治会のうわさになり、「場所を教えてくれ」と、“2匹目のスッポン”を狙い、捕獲に出かけた人もあった。