「光秀VS秀治」激戦をミュージカルに 元宝塚の榛名さん、鈴鹿さんも出演 女性劇団が7月公演へ

2023.05.25
地域観光

7月に「ASAJI~篠山戦国ものがたり」を上演するOZmateのメンバーら=兵庫県丹波篠山市北新町で

兵庫県丹波篠山市南矢代の劇場「OZ’sブロードウェイシアター」を拠点に活動している女性のみのミュージカル劇団「OZmate(オズメイト)」が、戦国時代に起きた地元の武将・波多野秀治と明智光秀の激戦を題材にしたミュージカル「ASAJI~篠山戦国ものがたり」を制作。7月23日に田園交響ホール(同市北新町)で披露する。元宝塚歌劇団の榛名由梨さんと鈴鹿照さんも出演。チケット販売が始まっており、宝塚ファンからの熱い視線が注がれている。同劇団は、「第一は地元の人にこんな素敵な歴史があることを知ってほしい。外の人にも魅力を感じてもらい、観光客の増加などにもつながれば」と意気込んでいる。

大学を卒業し、東京へ向かおうとする女性「伊万里」がバスの中で不思議な老婆と出会う。老婆の手助けで下車した場所は、八上城跡が残る高城山。不思議な歌声に誘われて山に入り、秀治の娘「朝路姫」が身を投げたと伝わる池にたどり着く。一方、時は天正3年の戦国時代。秀治は織田信長の命で丹波攻めを行う光秀を前に、共に黒井城の赤井直正を攻めるか、直正に寝返るか、決断できずにいた。そこに父・元秀の霊が現れ―というストーリー。

戦国最大のミステリー「本能寺の変」も絡ませながら、乱世を生きた人々の姿を描きつつ、大きな力にあらがおうとした秀治と光秀らの「弱き者でも貫く」という思いを表現する。

脚本・演出・振付・音楽を務めるのは、同劇団を運営する一般社団法人「OZways」の代表、辻井奈緒子さん。光秀を同劇団の松本飛路さん、秀治を歌帆さんが担うほか、丹波篠山、丹波市民5人も出演する。

「ベルサイユのばら」でアンドレを演じ、「ベルばら旋風」を巻き起こした“レジェンド”の榛名さんは元秀役。名脇役として数々の舞台を務めた鈴鹿さんは、朝路姫の乳母・小松を演じる。

同劇団と榛名さんらとの縁はコロナ禍のこと。活動が制限される中、辻井さんらが「宝塚」を語るユーチューブチャンネルを開設し、登録者3000人を超える人気番組になった。それを知った榛名さんが番組に出演。以来、舞台生活60周年記念公演を見に行くなど交流が生まれ、2人に出演を打診したところ、快く引き受けてくれたという。

辻井さんは、「榛名さんや鈴鹿さんに出演していただけることで、作品に厚みが出る」と喜び、「伊万里を通して現代の人々が生まれ育った土地の歴史と当時の人々の魂が今につながっていることを知り、地元の良さを再確認することにつながれば。丹波篠山の魅力をPRするご当地ミュージカルになればうれしい」と来場を呼びかけている。

劇団は辻井さんが1994年に結成。ミュージカルの本場・アメリカのブロードウェイの技術を追求し、日本を代表する劇団になることを目標に活動しており、道徳やヒューマニズム、幕末史から戦中戦後など、作品の題材は多岐にわたる。

2016年には、800以上の応募団体があるニューヨーク国際演劇祭に参加。オリジナル作品「The Legend of ONI(大江山鬼伝説)」を披露し、現地メディアからベストミュージカルの一つに選ばれた。

2019年から丹波篠山で劇団のスタジオや公演のシアター、カフェを運営している。

今回はホールとの市民共同企画事業として開催。拠点を置き、活動を進める中で、豊かな実りと歴史があるまちの魅力を実感し、住民からも「地元のミュージカルを作ってみては」と提案を受けていた。そんな折、NHK大河ドラマ「麒麟がくる」などで光秀と丹波の関係を知り、強く興味が引かれたことから、「ASAJI―」を制作したという。

正午と午後3時開演の2部制で、各回定員800人。チケットは4000円(友の会やグループ割は3500円)。同ホールなどで販売している。チケットぴあ、ローソンチケットからも。

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