新型コロナウイルス感染症の感染症法上の位置づけが8日から、2類相当から5類に移行した。法律上の位置づけが変わってもウイルスは消えない。8日以降、ウィズコロナの日常をどう過ごせばいいのか、感染症専門医の見坂恒明・兵庫県立丹波医療センター地域医療教育センター長(神戸大特命教授)に話を聞いた。
―最近の新型コロナウイルス感染症の病態は
今のXBB株は弱毒化しており、感染力はそれなりに強いが、症状がとても軽い。解熱剤を出す、たんを切る薬を出す、のどの痛みの炎症を抑える薬を出す、といった具合。重症化リスクがある人に、新型コロナ治療薬が処方されることがあるが、少数だ。
体力のない人がコロナにかかって誤えん性肺炎になったり、尿路感染を起こしたりしている。これはコロナでなくても、他の感染症でも起こること。1―4波の頃のようなコロナ肺炎像は見ない。ごくたまに肺炎像を見るときがあり、聞くと、ワクチンを打っていない人だった。打っている人は予防効果があり、重症化を防ぐ。研究データでも臨床でもそうだ。
―8日以降、マスクを外す人が増える、ゴールデンウイーク中の移動で、9波が来ると言われている
ウィズコロナで通常生活を送るようになるので、9波は来るだろう。コロナウイルスはインフルエンザより変異しやすく、これから先は「かからない人がまれ」になるのでは。よほどのことがなければ強毒化はしないと思うが、どんな変異が起こるかは分からない。
全数把握から定点に変わり、流行を追いづらくなる。調子が悪いと感じたら休むことだ。
―県は先月末に出したメッセージで、感染者の療養期間を「発症後5日間を経過し、かつ症状軽快から24時間経過するまでの外出を控えること」を推奨し、発症後10日間が経過するまではマスク着用など周囲への配慮を求めた
学校保健安全法で、児童、生徒、職員が新型コロナに感染した場合は「発症後5日間を経過し、かつ症状軽快後1日を経過するまで出席停止」になる。企業には法令の定めがない。県は、「目安」を示したのだと思う。
コロナかどうかは検査しないと分からない。文部科学省は、医療機関が発行する検査結果を証明する書類も、陰性証明も必要がないとしている。
家族中がかかり、その人に症状があっても「証明をもらって来い」と言う会社が実際ある。診断をつけてもらうために社員に受診を求めるのか、検査キットの結果でよいのか、検査なしで体調が悪いときは自主的に休むのを認めるのか、それぞれが考えることだ。
―見坂さん自身はマスクをどんなときに着けるか
私は仕事柄、原則マスクを着けた生活をしばらく送る。スーパーに買い物に行くときや会合のときに混んでいない、密でないと本人が感じるなら、着ける必要はない。それが、ウィズコロナの社会生活だから。状況を見て、着け外しをすればいいので、マスクは携帯をお勧めする。
マスク、手洗い、手指消毒は、新型コロナに限らず、多くの感染症予防に有効だ。調子が悪いときは会食の場などに出ない。村の祭りなど大勢が飲食をする場に参加するときは、自身の体調としっかり相談して。