5月8日から新型コロナウイルスの感染症法上の位置づけが2類相当から、インフルエンザと同じ5類に移行される。陽性になっても行動制限がなくなり、法律上の濃厚接触者はなくなる。兵庫県丹波地域の医療機関の診療体制は8日以降も当面、維持される。丹波健康福祉事務所が開いた関係者会議で、「まずかかりつけ医を受診し、症状によって病院に紹介」の流れを確認した。
◆外来
コロナ患者を診る医療機関として県が公表している「発熱等診療・検査医療機関」は、丹波市が22、丹波篠山市が13。5月8日から「発熱等外来対応医療機関」に名前が変わるが、これまでと変わらず患者を診る。
丹波市医師会の野上壽二会長は、「県に届け出ていない医師会員も発熱患者を診ている。発熱して受診するときは、かかりつけ医に連絡を。受診時は、マスク着用で」と促す。丹波篠山市医師会の芦田定会長は「発熱患者を診る会員が増えてきた。かかりつけ医が診るので安心して」と言う。
陽性が分かると、ささやま医療センターで検査を受けて重症化リスクをはかる「新丹波方式」はすでに取りやめている。
◆入院
軽症・中等症患者は、医療機関同士で入院調整し、重症患者は保健所が入院調整する。
コロナ患者用ベッドを設けた丹波地域3病院のうち、ささやま医療センターは19床のベッドと発熱外来を当面維持。県立丹波医療センターも重症2床を含む11床のベッドを当面維持する。岡本病院は、コロナ用をすでに廃止している。
面会制限は、ささやま医療センターは、「少し時間を延ばす方向で考えている」、丹波医療センターは「緩和は、様子を見てから」と、これまでの制限を当面継続する。
◆医療費
外来、入院とも8日からは他の病気同様に1―3割の自己負担が生じる。高額なコロナ治療薬の薬代は、9月末まで全額公費で賄われ、自己負担はない。検査は医療費に含まれ、有料になる。入院は、高額療養費制度の自己負担限度額から所得に応じ、最大2万円が減額される(9月末まで)。
◆健康福祉事務所
自宅療養者への電話による健康観察や、食べ物などの物資を届ける事業が、法的位置づけの消滅で廃止される。
県が新たに「新型コロナウイルス健康総合相談窓口」を設ける。健康相談は、土・日曜、祝日を含む24時間。
平日の業務時間内は丹波健康福祉事務所で健康相談ができる。
◆感染者発生動向
毎日の新規感染者数の公表はなくなる。代わって、毎週、定点医療機関当たりの感染者数を公表する。定点は、丹波、丹波篠山両市にも設けられる。定点数は、インフルエンザの発生報告とほぼ同数の約200カ所。
県感染症情報センターが他の感染症と合わせ、毎週1度公表する「週報」で発表するほか、県も同センターの情報を元に毎週発表する。
◆感染者5日療養を推奨
県は26日、新型コロナウイルスの5類移行に際し、メッセージを出した=表参照。感染者の療養期間は自主判断になるが、発症翌日から5日間を目安とし、発症翌日から10日間のマスク着用を要請した。基本的な感染対策は、個人や事業者の判断に委ねられるとし、手洗い、手指消毒、換気、マスク着用は有効な対策とした。
重症化リスクが高い人や、症状が強いなどの理由で受診を希望する人は、事前に医療機関に相談、連絡をするよう求めた。検査で陽性となった人は外出を控えるよう要請。医療機関、薬局、高齢者施設などへ行く際はマスク着用などの感染対策を求めた。
このほか、▽受診を希望する人は、かかりつけ医や24時間対応の健康相談コールセンターなどに相談する▽体調不良時に備え、自己検査キットや常備薬を準備する▽重症化リスクが低く、かつ症状が軽い場合は、安静にするなど体調が戻るよう自身で健康管理をする―ことを求めている。