兵庫県丹波市氷上町常楽の古刹、高山寺に残る、方角と天地をつかさどる12体の守護神「十二天」が描かれた掛け軸が、屏風に仕立てられた。同寺で来年に行われる、33年に1度の本尊御開帳に向けた修繕事業の一つ。山本祐弘住職(47)によると、十二天が描かれた絵が残る地方寺院はまれという。
6体ずつ描かれた屏風を2扇仕立てた。幅3・5メートル、高さ1・2メートルほど。運命や死をつかさどる南の焔摩天や、水をつかさどる西の水天などの守護神が、立体感にあふれ、鮮やかな色彩で描かれている。
5年ほど前、山本住職が山門で物品整理をしていた際にビニール袋に入った掛け軸を見つけ、以来、蔵の中で安置していた。山本住職が御開帳の節目を前に、「日の目を見させよう。持ち運びも、保管もしやすくなる」と、屏風に仕立てることを思い立ち、京都の業者に仕立てを依頼した。
山本住職は「僧侶として独り立ちし、教えられる立場になるための『灌頂』の儀式をやっている本山の寺院では残っている所もあるが、地方の寺院ではそうそうあるものではない。高山寺で昔、灌頂をやっていたという話を聞いたことがある」と話す。
普段は本堂に保管しているが、8月13日の「千日会万燈法要」の際には一般にも公開する予定。山本住職は「御開帳が無事に成功するよう、十二天に見守ってもらいたい」と顔をほころばせた。