海外の19歳を初招待 トレラン「TAMBA100」 NHKBS番組が橋渡し役に

2023.06.02
地域

大会へ向けトレーニングを積むディーンさん(右)と、実行委員長の中谷さん=兵庫県丹波市柏原町柏原で

世界屈指の大会をコンセプトとし、今日2日から4日まで丹波の森公苑(兵庫県丹波市柏原町柏原)を発着点とするコースで開かれるトレイルランニングの大会「TAMBA100アドベンチャートレイル」(同実行委員会主催)に、ニュージーランド出身のランナー、ディーン・スチュアートさん(19)が参戦する。“世界大会化”への足掛かりとして、初めて海外出身選手を招待した。母国では、レースによってスポンサーが付く有望選手のディーンさんは、「丹波に来ることができたのは誇り。19歳には何ができるのかを証明するレースにしたい。帰国した時には、『世界にはこんなレースがある』と伝えたい」と意気込んでいる。

ディーンさんが挑むのは、登った標高の合計「累積獲得標高」が世界でも類を見ない約1万6200メートルある100マイル部門(約170キロ)。同公苑を2日午後3時にスタートし、三尾山や篠ケ峰、岩屋山など市内の山々を駆け抜ける予定。

南部の小さな町、ウィンダム出身で、実家は羊を飼う農家。フルマラソンの経験もあるが、より過酷なレースにのめり込み、自然をフィールドに、走ったり、カヤックや自転車など多彩な種目をチームで競う「アドベンチャーレース」を主戦場としている。世界大会で7位になったこともあり、プロへのステップを着実に登っている。

「TAMBA―」は昨年、NHK・BSのドキュメンタリー番組「グレートレース―人生が変わるレースがある」で取り上げられた。今年3月の同番組では、1月にニュージーランドであったアドベンチャーレース「レヴェナント」が取り上げられ、約200キロを走る過酷なレースに脱落者が続出する中、最後の1人まで残ったディーンさんに、大きなスポットライトが当たった。

この番組のディレクターが橋渡し役となり、来日を果たした。ディーンさんは「丹波の山は起伏に富み、スリッピーで『レヴェナント』に似ているコースだと聞いている。フラットなコースなら参加しなかった」と言い、常に過酷なレースを求めている結果という。

5月29日に来日し、プロのトレイルランナーで、実行委員長を務める中谷亮太さん(32)=丹波市=の自宅に1カ月間、滞在する。来丹早々、本番コースを12キロほど試走した。「とても急峻。枝が顔に当たって痛かった」と苦笑いしつつ、「滑りやすいので、夜は特に気を付けないと」と分析した。山野を駆け抜けるトレイルランニングのレース経験は少ないが、「より過酷なアドベンチャーレースを経験している。負けるつもりはない」ときっぱり。

レース後も市内の山々でトレーニングを積み、日本でのさまざまな体験を楽しみにしている。「人生に一度の体験かも。僕は田舎の出身。日本で国際交流をしたい」と胸を膨らませている。

中谷さんは「可能性を秘めた選手。僕自身、丹波から世界へ、世界から丹波へというのをコンセプトにしている。ディーンの参戦で、この大会の良さがグローバルに伝われば」と話している。

大会は3部門あり、100マイルには67人、100キロには55人、30キロには37人がエントリーしている。市民らが運営に協力し、ランナーの休息所「エイドステーション」(エイド)を複数個所設ける。

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