ハンディある人にヘアカット 透析・がん患者ら対象 「心の痛み癒やしたい」

2023.06.24
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体にハンディを抱える人らを対象にした「m.ラリューシュ」本店2階の店内=兵庫県丹波市山南町井原で

兵庫県丹波市などで美容室などを展開する「チャルヤーム・ナニワ」が新規事業として、60歳以上の高齢者のほか、透析患者やがん告知を受けた人、身体障害等級1級の人など、体にハンディを抱える人らを対象にしたヘアカットの店「m.ラリューシュ」を、同社本店(同市山南町井原)の2階にオープンした。前社長で、後進を育成してきた浅田芳生さんが立ち上げたもので、「昭和のレトロ感」を漂わせているのが特徴。自らも透析治療を受けている浅田さんは、「病の経験談を話したりして、身体的マイノリティーの人たちの心の痛みを癒やすことができれば」と話している。

駐車場にこしらえた「ビーチ」

倉庫だった空間を改装した。店内は浅田さんが好きな船や海をイメージし、大きな舵やスピードメーター、羅針盤など、40年近くかけて集めたグッズを並べた。南側駐車場には、鳥取県の弓ヶ浜半島の砂浜をイメージしたビーチを造り、ヨットなどを置いた。

床屋の雰囲気を出そうと、40年以上にわたって活躍したと思われるタカラベルモント社製のバーバーチェアを入手して設置。別料金でマッサージも行う。薄毛の進行を止めることを目的とした頭皮マッサージ、リンパの流れを促すために首をもんだり、パックなど顔に施すメニューがある。2階に上がるのが難しい人には、1階でも同じサービスが受けられるスペースを用意した。

今年2月から、透析のため通院する浅田さん。患者の多さに驚き、苦しんでいる人たちを癒やしたいとの思いで、新規事業を立ち上げた。「普段、つらい治療を受けている人が、ほっとするような空間をつくりたい。1人でも長生きしてほしいですから」と話している。

午前9時―午後4時。毎週月曜、毎月第1火曜と第3日曜が休み。1日2―3人の完全予約制。

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