コロナ禍前までは、兵庫県丹波市内で一般的に行われていた、小学校PTA主催の夏休みの「地区水泳」。新型コロナの感染法上の分類がインフルエンザと同じ5類に引き下げられた今年、再開するかどうかを巡って、各PTAで対応が分かれている。 「子どもを楽しませたい」と再開するPTAがある一方、「熱中症や水難事故の対応が難しい」「監視当番が負担」と中止を継続するPTAも。市内21校のうち、実施は9校で、従来と形を変えて行うところを含む。市内の状況を聞いた。
実施の9校はいずれも、暑さ対策から午前中に1時間程度泳ぐ予定を立てている。
ある学校は、コロナ禍前よりも数日多い10日間実施し、運営はコロナ禍前とほぼ同じ形に戻した。基本的に、地区ごとに歩いて参加。監視当番は、地区から一人ずつの予定を組んでいる。同小PTA保健体育部長は、「子どもたちの喜ぶ顔を見るため、今年度は、できる活動はなるべくやろうと決めた」と話す。
この学校ではコロナ対応として、「密」を避けるため、女子の更衣室を3カ所に分け、男子は広い体育館で着替えている。また、熱中症の危険を避けるため、朝8時半の時点で、水温と気温を足して65度を超えていれば中止する。
また別の学校は、以前は盆前まで実施していたが、今年度は5日間に短縮。子どもたちの“需要”を探ることにしている。
ある学校は、形を変えて「プール開放日」として26―28日の3日間開催。各保護者が送迎し、監視はPTA体育部の9人と、子どもが参加している保護者で行う。
同小PTA体育部長は、「コロナ開けで、いきなり例年通り2週間丸々の形に戻すのは難しい。ただ、せっかく実施できる状況になっているのに『ゼロ』にはしたくないと思った」と、見直しの理由を話す。今後はこの形にするというわけではなく、「試しにやってみて、出てきた反省点を生かして来年度につなげられれば」と考えている。
一校は統合のため、今年度が最後という事情があり、地区水泳ではなく、閉校イベントとして3日間開催。浮き輪など遊び道具の持ち込みOK、縁日などの催しもある。
一方、中止を継続したPTAで最も懸念されているとみられるのが「暑さ」だ。水泳中だけでなく、児童が地区ごとに徒歩や自転車でプールに通うことに、「行き帰りの熱中症が心配」との声が多いという。地区水泳を実施している学校で、低学年は保護者が送迎することになっているところもある。
また、記録的な猛暑となった2018年に、暑さのために地区水泳を中止したり、計画していても実施できなかった日が多くあったりしたことも再開に踏み切れない要因になっているという。
あるPTAは、全家庭にメールでアンケートを取った上で、今年度の地区水泳中止を決めた。中止継続の理由は▽水難防止の安全管理▽学校の行き帰りの熱中症対策▽監視当番の負担―などが多かったという。
「中止」としたPTAは、いずれも「今年度」としており、来年度は改めて検討する。