「夢を持つこと大事」 ボクサー引退の角谷さん 地元でセレモニー「山あり谷あり」

2023.08.03
地域注目

引退セレモニーで感謝の気持ちを語る角谷さん=兵庫県丹波篠山市北新町で

兵庫県丹波篠山市出身で、プロボクシングの元世界ランカー・角谷淳志さん(38)の引退セレモニーがこのほど、同市役所で開かれた。2008年のプロテスト合格以降、「チャンピオンベルトを巻く」夢を追いかけ続けた角谷さん。会場には、その姿を応援し続けた地元の人たちや友人などが駆け付け、盛大な拍手でプロ人生のフィナーレを見届けた。

「ささやまフルートコンソート」(松村京子さん、田中幸さん)による「ロッキーのテーマ」や「栄光の架橋」などの演奏で幕開け。酒井隆明市長や、幾度となく応援に駆け付けた「角谷淳志選手を応援する会」の粟野義範会長らがねぎらいのメッセージを送った。

また、角谷さんが丹波篠山でボクシングを始めたジム「ロス・ロコス」の槇原雅範さんや、地元東新町の高田啓司さん、母校篠山小学校の児童らが記念トロフィーなどを贈呈。角谷さんの娘の日衣奈ちゃん(4)と來珀ちゃん(2)は、「とうちゃん、かっこいい」と言いながら花束を手渡した。

角谷さんは、「山あり谷あり、これ以上やったら死ぬんちゃうかという練習もし、井上尚弥選手(WBC&WBO世界スーパーバンタム級新王者)とも練習をしてぼこぼこにされたこともあったけれど、夢はかなわなかった」と振り返りつつ、「夢を追うことで素晴らしい経験ができたし、人生で一番うれしい瞬間も、悔しい瞬間もあった。一生続く大事な仲間もできた。『夢を持つ』ということは、かなう、かなえられないに関係なく、大事なこと」と語った。

愛娘からの花束贈呈も

また、「丹波篠山市の皆さんに応援に来てもらって、めちゃくちゃやる気が出たし、力になった。恩返しができなかったけれど、地元で暮らしていく中で、少しでも丹波篠山を盛り上げるようなことができれば。世界チャンピオンの後輩をつくるかも」とはにかみ、「長い間、応援ありがとうございました」と頭を下げた。

長年、トレーナーを務め、現在は「SAEKI BOXING GYM」(冴城ボクシングジム)の会長を務める冴城辰弥さんは、「ベルトをお持ちすることができず心苦しいけれど、切磋琢磨し、命を懸けて戦ってきた。皆さんに少しでも感動を感じてもらえたなら幸せ」と言い、「ジムには若いボクサーがいるので、黒豆の収穫など、何かできることがあればお申し付けください」と話した。角谷さんに向け、「夢を与えてくれてありがとう。苦しいことも楽しいことも共にできたことは財産。これからもよろしくお願いします」と言い、大きな拍手を浴びていた。

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