兵庫県篠山警察署はこのほど、電子マネーカードを購入させる特殊詐欺の被害を未然に防いだとして、ファミリーマート篠山丹南店のマネジャー木戸正惠さん(61)と、店員の坂本恵子さん(58)に署長感謝状を贈った。
同署によると、6月23日午前8時55分ごろ、常連の70歳代男性が来店し、7万円分の電子マネーカード(グーグルプレイ)を購入しようとした。木戸さんらは、男性が「パソコンが動かなくなり、画面に表示された連絡先に電話をすると、ウイルス対策サポート料金として、電子マネーを購入するよう指示された」などと話したことから特殊詐欺を疑った。
そこで、県警と県コンビニエンスストア防犯対策協議会が製作した啓発グッズの一つで、特殊詐欺の事例を掲載した電子マネーカード包装用の封筒を見せながら説得。封筒には、「コンビニで○○カードを買って番号教えては全て詐欺」の文言や、パソコンの画面に突然、▽警告 ウイルス感染▽ご登録ありがとうございます―と表示が出たり、スマートフォンなどに▽利用料金が未払い▽○億円当選―などのメールがきたりしたら、それらは詐欺であることを警告したイラストや文言が印刷されている。
男性は、記載された手口と自分が置かれた状況が同じだったことに目を丸くしたという。その後、通報によって駆け付けた警察官から説明を受け、購入を取りやめた。
贈呈式は同署で行われ、山本隆美署長が2人に感謝状を手渡した。
特殊詐欺を防いだとして、これまでに2度の署長感謝状を受けている木戸さん。「声かけをすると逆上されるお客さまもおられ、怖い思いもするが、詐欺の疑いがあると分かっていて見逃してしまうと、詐欺に加担したような罪悪感にさいなまれる。今回は未然に防ぐことができてうれしい」と喜んでいる。
坂本さんは「今回、声かけを実行し、詐欺を防ぐことができた。この経験を生かして、今後も声かけを頑張っていきたい」と話した。
山本署長は「今後も、『最後の砦』という意識で、詐欺の被害に遭われる方を救っていただきたい」と話している。
今年1―6月末時点での特殊詐欺被害の認知件数は1件(前年同期比1件増)、相談件数は17件(同2件増)。