丹波の祇園祭 4年ぶりに山車8基 繰り人形劇「デコノボウ」も

2023.08.11
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威勢の良いかけ声とともに山車を引く氏子たち=兵庫県丹波篠山市宮ノ前で

「丹波の祇園さん」の愛称で親しまれている兵庫県丹波篠山市宮ノ前の波々伯部(ほうかべ)神社(近松財宮司)で5、6の両日、夏の風物詩「祇園祭」が4年ぶりに営まれた。今年は3年ごとに行われる「おやまの神事」があり、操り人形「デコノボウ」が奉納された。また、神戸大学と関西国際大学の学生十数人が山車の引き手として参加し、まつりを盛り上げた。

御旅所の大歳神社へ向かう神幸行列

本宮の6日は、氏子8集落(北嶋、上宿、畑井、辻、小中、畑市、井ノ上、宮ノ前)それぞれの山車が同神社境内に参集し、北西に約800メートル離れた御旅所「大歳神社」へ渡御する神幸祭が営まれた。猿田彦(天狗)などに扮した社役人12人、宮年寄11人、3―7歳の子どもが扮した踊り子6人の後を8基の山車が続き、威勢の良いおはやしを響かせながら、緑の稲穂が波打つ田園地帯に隊列を作った。

地元住民と共に、にぎやかに山車を引いた関西国際大3年の山田倭歌さん(20)=神戸市=は、「中世の雰囲気漂う山車と周囲の田園風景とがマッチしていて、その美しい景色が心地よかった」とほほ笑んでいた。

胡瓜山を舞台に上演される「デコノボウ」による繰り人形劇

同神社へ戻ると、大勢の男衆が拝殿脇に祭られていた神輿を担ぎ、気合の入ったかけ声とともに境内で何度も荒ぶってみせ、祭りを活気づけた。

おやまの神事では、「胡瓜山」と呼ぶ高さ約8メートルのしずく型の曳山2基が境内に入場。東西に配置され、それぞれの胡瓜山の上部に設けられた舞台で、宮年寄が高さ50センチ内外の胴串だけの素朴な人形デコノボウを繰り、劇を上演した。演目は、大ムカデを退治する「田原藤太」など4題。氏子や来場者たちは、ユーモアたっぷりの演目解説と、中世的色彩をとどめた貴重な民俗芸能を堪能した。

胡瓜山を舞台に上演される「デコノボウ」による繰り人形劇

おやまの神事は、昭和中頃までは、神様だけに奉納していたが、それ以後、村おこしの意味合いも込めて、現在の形態になったという。

宮総代代表の向井務さん(71)は、「少子高齢化や過疎化で、ただでさえ祭りの継承が難しくなってきている状況に、コロナによって中止が続き、伝統が途切れないかと心配していた。こうして無事に開催でき、ありがたい」と言い、「準備は大変だが、やっぱり祭りがないと駄目ですわ」と笑った。

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