日本語支援や生活助言 草の根活動に功労賞 「無駄ではなかった」

2023.08.12
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「草の根国際功労賞」を受賞した池田さん=兵庫県丹波市柏原町柏原で

兵庫県丹波市内で暮らす外国出身者への日本語支援や生活の助言など、母国を遠く離れて生きる人々への支援に力を注いだとして、同市の池田和代さん(76)が、ひょうご国際交流団体連絡協議会の「草の根国際功労賞」を受賞した。国際交流や多文化共生の社会づくりに功績があった個人、団体を表彰するもので、市国際交流協会によると、市内では個人での受賞は初めてという。池田さんは、「一番うれしいのは、日本語支援が終わっても、私のことを覚えていてくれること。やってきたことが無駄ではなかったと思える」と話している。

1990年、旧氷上郡(現丹波市)の市島町国際交流協会が主催した事業「あぜ道交流」で、ホームステイ先としてイギリス出身の女性を受け入れたのが、国際交流に力を注ぐ入り口になった。

このきっかけになったのは、夫の勤務先で働いていた4人の中国出身者が、ホームシックから立ち直った出来事。元気がなかった彼らが、偶然出会った中国語を話せる人と会話できた時、リラックスした表情を見せたという。「その時の顔が忘れられない」。以降、2005年まで外国出身者を受け入れ、時間を共にした。

同年から、同市の「柏原日本語教室こんにちは」で日本語支援員としてボランティア活動を始めた。普段、何げなく使っている日本語を文法的に教えるのは難しく、「毎回、汗をぼろぼろかいた」と笑う。「日本語を教えるというより、外国の知らないことを教えてもらうことが多かった」

教室で指導を受けられない人には出張授業も実施。自宅を訪ねて日本語を教えた後、共に料理や着付けを楽しんだこともあり、日本の習慣を伝えることにもつながったという。

17年からは、市内企業の技能実習生らを対象に、宿舎での日本語支援も行っている。ごみの出し方など、生活の部分でも伝えることがあったと言い、「そこまで関わらなくてもいいのかもしれないけれど、教えたらきちっとしてくれる。外国から来た人が色眼鏡で見られてほしくないから」と語る。

今後、外国出身者の「居場所」をつくることに力を注ぎたいという。「みんなで集まれば、楽しいと思えることはいっぱいある。見返りを求めるのではなく、その人の幸せを願っている」と話している。

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