黒豆の産地として名高い兵庫県丹波篠山市の篠山東雲高校で、特産の加工などを学ぶ「フード・インスティテュート類型」を選択している2年生11人と、同市立多紀小学校3年生25人が、同高校で黒豆みそ造りをした。同高で栽培した黒豆を使用。高校生が“先生”となって、児童たちにみその仕込み方を指導した。
煮た黒豆を擦りつぶしたものに、米こうじ、塩を混ぜ合わせ、熟成させるたるに詰める際、高校生らは、カビの原因となる空気を抜くため、「みそは野球ボール大に丸め、たるの底に向かって投げつけて」と指導。それを聞いた児童たちは、われ先にとみそを丸め、楽しげにたるの底めがけて投げ込んでいた。
たるに詰め終わると、「もう、食べられるん」と児童。高校生は「熟成発酵させるので、早くても半年後ね」と告げると、「えー、きょう食べられへんの」と残念がっていた。みそは約50キロを仕込んだ。
にぎやかに作業を進めていた児童は、「今すぐ食べたい気持ちだけれど、新鮮な今は食べられなくて、時間がたてばおいしくなるなんて、おみそって不思議」と笑った。
多紀小出身で進行役を務めた高校生は、「子どもたちに分かりやすい言葉で教えることの難しさを実感した」と苦笑いし、「普段、何げに口にしている食べ物が、多くの人が関わり、たくさんの工程を経て皆さんのもとに届いていることに気づいてもらえたら」と話している。