趣味で油彩画を描いている兵庫県丹波市春日町黒井の田村英夫さん(72)が、自宅屋上の倉庫の壁面に、ダンクシュートをするバスケットボール選手をイメージした絵をペンキで描いた。「描き終わった後に『バンクシー』の作品のようになったと気付いた。作品名は『ダンクシー』」と笑う。
高さ2メートル、幅15メートル、奥行き3メートルほどの倉庫の四方に、赤、青、黒の3色のペンキを使って描いた。バスケットリングへシュートに向かう選手の3体の残像を描写し、躍動感を表現した。
自分が気に入っている言葉で、ミュージカル「レント」に登場する曲中のフレーズ「No day but today」という文字も添えた。「今日以外の日はない」を意味する。
中学、高校時代はバスケットボールに情熱を注いだ田村さん。血が騒いだ当時の思い出を形として残そうと、男子バスケットボール日本代表が出場し、48年ぶりに五輪出場権を自力で獲得したワールドカップ(W杯)の開幕に合わせて制作した。毎日、朝食前にこつこつと描いた。
「あの頃はマイナーなスポーツだった。続けなかった悔いもある」と振り返る田村さん。「ワールドカップをテレビで観ていると、自分も一緒に走っているような感覚がして、わくわくした。五輪出場はうれしい。絵からバスケをアピールしたい」と言い、「コロナで沈みがちだが、この絵のように上を向いていければ」と思いを語った。