兵庫県丹波市内でコロナ禍前までは、多くの地区で小学校運動会後に行われていた地区運動会が、新型コロナをきっかけに中止となり、感染症法上の5類に移行した今年も復活しない状況にある。市内全21校区で、コロナ禍前まで自治協議会が実施していた校区のうち、地区運動会を従来の「自治会対抗」で実施するのは2地区のみ。多くは「選手集めが大変」などの理由で中止を継続している。一部、形を変えた運動会を実施するところがある。
多くの地区で4年前までは、小学校の運動会が午前中、午後から地区の運動会という流れがあった。種目は玉入れや綱引き、リレーなどで、自治会対抗で得点を競っていた。1町1小学校となった青垣地域と、柏原地域の柏原、新井地区は、コロナ以前から自治協議会主催の地区運動会は行っていない。
各自治協議会によると、主管する体育振興会から「高齢化や仕事などで選手の確保が大変」との声が上がっている。時代とともに校区運動会自体が盛り上がりに欠けてきていたところに、コロナ禍で3年間のブランクが空いたことで、復活ができない状況になったとみられる。ただ、来年以降は「未定」としている地区もあり、形を変えたイベントが行われる可能性もある。
ほぼ従来通りの形で4年ぶりに復活するのは、山南地域の上久下地区と、市島地域の竹田地区。上久下地区は、体力面でハードな種目の内容を見直したり、リレーの出場者の年齢を変更したりして行うことを決めたという。竹田地区は、来年は統合で「竹山小」になることが決まっており、今年は“最後の竹田小”ということもあって開催したという。
市島地域の前山地区は、小学校運動会の玉入れ競技と丹波市音頭の総踊りに、地域の人も参加する形をとる。春日地域は、5地区で統一して運動会を行わないと決めた。
氷上地域の生郷自治振興会は昨年から、自治会対抗ではなく、誰でも参加できる「ふれあい運動会」に変更した。今年も同じ形で、菓子取り、バケツ玉入れ、ホールインワンゲーム、ジャンケン大会を行う。
今年は中止が決まっている氷上町中央地区の住民(75)は、「昭和30―40年代の地区運動会の盛り上がりはすごいものだった。小学校の運動会とは別に、1日がかりで開催され、自治会で予選もあった。昼は仮装行列もあった」と懐かしみ、「世代を越えて、老いも若きも応援で一つになれる行事だった。今は好みの多様化や勤めの関係など、いろんな要素で運動会が難しくなってきており、寂しいことではある」と話していた。