兵庫県丹波地域で、インフルエンザの感染報告が8月以降増加している。10月の予防接種開始前から流行しており、同県丹波健康福祉事務所は「立ち上がりがこんなに早いのは前例がない」として、注意を呼びかけている。
同事務所は、インフルエンザと新型コロナウイルスについて、管内の丹波市と丹波篠山市で各3カ所、計6カ所の医療機関を定点医療機関とし、週単位で患者数を把握している。インフルエンザは、定点当たりの患者数が「1」を超えると「流行」とされ、「10」を超えると「注意報」、「30超」が「警報」レベル。新型コロナは、こうした基準はまだ作られていない。
8月以降でインフルエンザが増え始めたのは、8月21―27日の第34週=グラフ参照=。その前2週間の報告数はゼロだったが、一気に21人(定点当たりの報告数3・5人)となった。翌週はさらに増え、その後いったん減ったが、調査公表直近の直近の9月18―24日の第38週には28人(同4・67人)となり、今年に入ってからでは、2月27日―3月5日の第9週の33人(同5・5人)に次いで2番目に多い数となった。
乳幼児や、小中学校、高校の児童生徒を中心に感染者の報告が多い。第38週でみると、19歳以下が70%以上。一方、70歳以上の高齢者の感染はごくわずかだった。
2学期早々に学年閉鎖になった学校も。9月末までに丹波市内の小中学校、高校で延べ16件、丹波篠山市内で同7件の学級・学年閉鎖があった。
今後、空気が乾燥してくるため、このまま感染が増える可能性も十分あるという。丹波市医師会は予防接種の開始を早め、準備が整った医院は9月中から接種を始めた。
◆新型コロナ35%が高齢者
一方、5月8日から感染症法上の分類がインフルエンザと同じ5類になり、定点調査となった新型コロナは、7月以降、感染報告が増えていた。8月14―20日の第33週にピークの91人(同15・17人)となり、直近の第38週も52人(同8・67人)と依然として多い。
コロナの感染者のうち最も多いのは高齢者で、5類移行後から第38週まででは、70歳以上が全体の35%近くを占める。19歳以下は19%だった。
◆手洗い・うがい・換気が効果的
新型コロナ、インフルエンザの予防について小田睦子・丹波健康福祉事務所健康参事は「基本的な対策は手洗い、うがい。コロナ、インフルとも飛沫感染なので、換気も効果的」とする。
また、野上壽二・丹波市医師会長は「感染防止に重きを置けば、マスクの効果は絶大。ポケットに入れておいて、人混みでは着けるなどの工夫を。症状があれば、個人で判断せずに、医療機関を受診してほしい」と呼びかける。
芦田定・丹波篠山市医師会長は「暖かいうちからインフルが出ることはあったが、こんなに多いのは経験がない」としつつ、秋祭りの時期を前に「コロナが5類になり、社会を機能させていく以上、人の流れを止めるような対策を求めることは難しい」と話していた。