兵庫県丹波篠山市を拠点に「森のある暮らし」を体験し、これからの衣・食・住を探求しているサークル「草むらの學校」が、1年かけて「クラフトビール」造りを楽しむ初のプログラムを企画し、31日まで参加を募っている。香りづけとなるヒノキを間伐したり、原料のホップや麦の栽培・収穫を体験したり、ビールが出来上がる工程も楽しむ内容で、丹波篠山の「自然と人」という資源がつくり出す“世界に一つだけの一杯”を味わう。内田圭介代表(50)らは、「ビールが好きな人やビール造りに興味がある人、親子で自然体験がしたい人など、いろんな人に参加してもらえたらうれしい」と呼びかけている。
11月18日午前10時から「丹波篠山キャンプ場やまもりサーキット」(同市遠方)で説明会を開催。参加者とスタッフが一堂に会し、クラフトビールや年間スケジュールの説明、クラフトビールの試飲、麦の種まきなどを行う。
来年1月には山に入ってヒノキを間伐。3月に麦の追肥とガイド付きで春の里山を楽しむ。春にはホップを植え付け、麦秋の5月に収穫。夏にホップの収穫と麦の脱穀を行い、ビールを仕込む。
1年後の11月にビールの完成お披露目会を開き、参加者で「乾杯」する。ビールの名前やラベルデザインも参加者から募る予定。
参加費は完成したビール(330ミリリットル×6本)や試飲ビール、計8回あるイベントへの参加費用などを含めて年間3万8500円。1口で大人(20歳以上)2人まで参加できる。子どもは無料。
株式会社「ミドリカフェ」(同市倉本)と「やまもりサーキット」が運営する「草むら―」と、同じく内田さんが代表を務め、里山資源を生かして楽しむ「八百材舎BASE」(倉本)、農家の「橋本創房」(同市遠方)、ビールを醸造する「丹波路ブルワリーテラノ・サウス」(同市北)が協力する。
内田さんらは、市内でさまざまな活動を行う中、山や田畑、麦を育てる農家や醸造所など、ビール造りに必要な自然と人がそろっていることに気づき、これらを生かし、丹波篠山と関わる関係人口を増やせないかと考えた。
また、同市古市地区で都市部の人らと日本酒造りに取り組んでいる「ミチのムコウプロジェクト」を参考にし、同プロジェクトのビール版としてアドバイスも受けた。
内田さんらはこれまでにもヒノキの黒ビールやクロモジのビールを造っており、好評を博している。スタッフで内田さんの妻、貴美子さん(53)は、「プログラムがあることで、丹波篠山に来る理由になる。体験後にキャンプをしたり、観光やご飯を食べに行ったりと、いろんなことでまちを楽しんでもらえたら」と言い、「森の樹木を使ったビールはなかなかない。都会の人はもちろん、地元の人にも楽しんでほしい」と呼びかけている。