兵庫県立柏原高校で人権教育講演会が開かれ、韓国にルーツがある、同県三田市立ひまわり特別支援学校に勤務する崔精一(チェ・チョンイル)さんが、「在日を生きる―日本の大切な友だちへ」と題し講演した。全校生577人を前に、それぞれの生き方を尊重する大切さを語りかけた。
崔さんの祖父母が朝鮮半島の出身。出身者の中には自身が在日であることを肯定的に捉える人や、「隠したい」と思う人、興味を持ってほしい人など、それぞれの考え方があることを紹介し、「みんな違って当たり前。違っていることは素晴らしいこと」と語りかけた。
一方で、「在日として生きることは難しい」と切り出し、小学生の時のエピソードを紹介した。崔さんを呼び出した担任が、「韓国人であることを気にしなくていい。日本人として生きたらいい」と話したという。崔さんは「親切心で言ってくれたこととは思うが、僕は韓国人として生きていきたいと考えていた。日本人か韓国人か、人に決められることではない」と述べた。
高校生の時、クラスで韓国人であることを伝えた。関心を持ってくれた友人が多くいたことがうれしかった一方で、「怖かったのはリアクションがない子。『どう思っているんだろう』と不安になった」と振り返る。
「一緒にこんな人を目指しませんか」と語りかけた崔さん。「違う者同士がつながることで、相手から得るものや、相手に与えるものはある。優しさと思いやりは無限。これは使うほど増えていく。より優しく、より思いやりのある人になれる。外国人がいるのは当たり前の世の中。共により良く生きるために、自分はどう生きるべきなのか、皆さんと考えたい」と締めくくった。