丹波竜の里公園(兵庫県丹波市山南町上滝)に、ハート形の檜皮ぶきあずまやが完成した。上久下地区で盛んな檜皮ぶきが、2020年にユネスコ無形文化遺産に登録されたことを記念し、同町上久下地域自治協議会があずまやの建築プロジェクトを企画。2021年から延べ14日間のワークショップを開き、技術者らの協力のもと、参加者の手でこつこつと作り上げた。このほど同公園で完成式が行われ、野外コンサートやキッチンカーも出て、にぎやかに完成を祝った。
あずまやは、地元の友井社寺社長の友井辰哉さんのアイデアを形にした。丹波竜の実物大モニュメントのそばにあり、「恐竜が草を食べに来ているイメージ」を描いた。
ヒノキの丸太柱に、葉っぱ形の屋根が付いたあずまやが2基あり、同公園の丘の上から見ると、ハート形が現れる。柱の高さは、1本が4・2メートルで、もう1本が3・6メートル。屋根は、杉板の下地の上に、厚い所で5、6センチ檜皮をふき、周囲を銅板で保護している。
ワークショップには、延べ171人が参加した。足場に上がって竹釘で屋根をふく作業を体験し、檜皮の裏側には自分の名前やメッセージを書いた。
完成式で、同自治協議会の野垣克已会長は「上久下の多くの皆さんが檜皮産業に関わり、檜皮と共に上久下を育ててきた。若い人にも檜皮ぶきの良さを知ってもらえれば」とあいさつした。
同協議会活動推進員で、プロジェクトを立ち上げた常岡芳朗さんは「たくさんの人に参加してもらえてうれしい。時々立ち寄って、ハート形の屋根の下でくつろいで」と言い、「恐竜スライダーの頂上辺りから写真を撮ると、きれいなハートに見える。記念写真を撮ってもらい、SNS(交流サイト)の“映え”スポットになれば」と期待していた。