コンサート会場で客が将棋倒し状態になり、負傷者が多数発生しているという想定で、兵庫県丹波市立看護専門学校体育館で、傷病者への対応合同訓練が行われた。丹波地域の両消防本部や県立丹波医療センター(災害派遣医療チーム)、丹波署、同専門学校生ら総勢50人ほどが参加。参加者には多くの事前情報が与えられず、傷病者の重症度や緊急度をその場で判断し、適切な治療や搬送につなげる訓練に取り組んだ。
同専門学校3年生20人ほどが客役。ステージ付近に客が殺到して負傷者が出ているという状況を想定した。通報を受け、駆け付けた丹波市消防本部が、客の意識やけがの状況などを確認し、傷病の緊急度や重症度に応じて搬送や治療の優先度を決める「トリアージ」を実践した。
3人が心肺停止という想定。命が助かる可能性が高い傷病者から搬送すると判断した。優先度が高い順に赤、黄、緑色の各シートの上に客を移動。災害看護の授業の一環で、同専門学校生による「学生救急隊」も参加し、傷病者の名前や住所、けがの程度などを聞き取った。
丹波署員、同医療センターの医師や看護師、応援部隊として丹波篠山市消防本部も続々と到着し、先遣部隊と情報を共有しながら、それぞれの役割を果たした。
学生救急隊の1人を務めた学生は、「授業でトリアージの流れは学んでいるけれど、傷病者が多く、パニックになっている人もいる状況での対応は難しいと感じた。すごく勉強になった」と話した。
丹波市消防本部救急第一係の消防司令補・田中伸也さんは、「傷病者が多数の場合、消防本部だけでは対応しきれない。他の機関との連携、手順を確認できて良かった」と話していた。
合同訓練は4回目。昨年、イベントに群衆が押し寄せ、多数の死傷者が出た韓国の雑踏事故を受けたもの。コロナ禍後の各イベントに多くの来場者が予想されることから実施した。