勝敗や順位が付くコンピュータゲーム「eスポーツ」を練習する部活動「eスポーツ部」が、兵庫県立氷上西高校(同県丹波市)に発足した。同市の「高校魅力化支援事業」の予算を使い、ゲーム用パソコンなど必要機材を購入、ゲーム用ネット回線を引いた。部活動と位置付け、大会出場を目指し研さんを積むほか、毎月、外部と交流会を開き、ゲームを通して地域住民や子どもたちと交流する。県内公立高校に同部があるのは数校。「部活でゲームができる」と部員はわくわくしている。
発足時点の部員は、1年生7人。全員が他の部活動や同好会と兼部している。活動日は週4日。10月末に機材搬入があり、部室に使う教室にゲーム用に特化したパソコン10台、液晶モニターなどを据え付けた。
機材選定を助言した、IT支援者の小寺啓樹・芦田集学校長は、「一般的な家庭用パソコンを軽自動車とすると、F1カーくらいの能力がある。3Dの処理速度がおそろしく速い」と高性能ぶりを説明した。一度に処理できる容量が多いゲーム用の光回線も新たに引き、オンライン対戦環境を整える。
全世界の人と戦える人気オンラインゲーム「フォートナイト」や「APEX」などのほか、ネット回線を介さず、その場の参加者で対戦するニンテンドースイッチも用意。eスポーツに初めて触れる高齢者でも気楽に楽しめるようにする。
部員は、大会で活躍を目指す“ガチ勢”と、“エンジョイ勢”が混在する。中学1年生の頃、本格的に打ち込んでいたガチ勢の金井悠真さんは、「大会に出て良い成績を目指す」と言い、谷颯真さんは、「高齢者とプレーすることを通し、将来、高齢者に関わる仕事をする生徒の良い経験になるのでは」と話していた。
同校、青垣地域4自治振興会、NPO法人・佐治倶楽部で構成する「高校魅力化推進協議会」が市の事業の受け皿になり、県立高校を支援する。市は推進協に300万円を交付する。
推進協の会長を務める中西孝弘校長は「さらなる学校の活性化につなげたい。間口の広いeスポーツを使い、今までできなかった交流ができる」と期待している。
丹波市の柏原高校、氷上高校も今後、魅力化推進事業に取り組む。
◇eスポーツ 「エレクトリックスポーツ」の略。電子機器を使うゲームで対戦する。ゲームはスポーツとして競技性のニュアンスがあるものを使い、勝敗や順位が明確に付く。人気ゲームは世界大会も開かれる。介護施設で取り入れている所もある。