「丹波の森ウッドクラフト展(木のおもちゃ大賞展)・ジュニアの部」(同実行委員会主催)で、兵庫県丹波市立氷上中学校1年の大森春菜さんが、5回連続のグランプリ(文部科学大臣賞)に輝いた。今年は、初めてからくりに挑戦し、約4カ月がかりで大作を仕上げた。大森さんは「グランプリが取れるとは思っていなかったのでうれしい」と喜んでいる。丹波年輪の里(同市柏原町田路)で29日まで、全応募作品を展示している。
同部門は、全国から111点の応募があり、学校単位では20校から作品が寄せられた。
大森さんの作品「恐怖?のさまようゆうれい船」(幅116センチ、奥行90センチ、高さ92センチ)は、緻密な設定で海賊船のファンタジー世界を表現した。「小さい頃から興味があり、海賊船を作ってみたかった」と大森さん。
1699年と1709年に同じ場所で沈没した大小2隻の海賊船が、船員の幽霊たちと共に突然現れ、調査隊が船に乗り込んだ―という設定。海底遺跡と海上の2段構造で、船を襲う海の怪物クラーケン(巨大タコ)も登場する。
からくりで大きく動くのは、クラーケン、幽霊船のオール、キッチンのテーブル。クラーケンは、ハンドルを回すと、船にぶち当たる動きをし、迫力満点だ。 大型幽霊船は、3段の造りになっており、取り外しできる。
船員と調査隊員は、木の数珠玉を2個つなげて人に見立て、バンダナやどんぐりの帽子をかぶせ、表情は手描きした。約100人を配置し、戦ったり、見張りをしたりと、それぞれストーリーがある。
船の帆は、カンナくずを使い、木のパーツは、購入したものや家にあったものを使いつつ、バーナーで焼くなど工夫した。
母の恵さんは同施設の木工指導員で、昨年、一般の部グランプリを受賞。父の栄司さんも一昨年に準グランプリを受賞するなど、“木工一家”。大森さんは小さい頃から木工に親しみ、糸のこなどの機械も操作する。
大森さんは、両親にアドバイスをもらったりするが、作品は一人で仕上げた。「今年は中学生になったので、からくりをやろうかなと思った。これからも出品し続けたい」と笑顔で話した。制作風景のビデオを、展示会場で流している。