兵庫県丹波市内北部、寒く雪深いと言われる青垣町で、30年近く使ったバラ栽培用ガラス温室を転用し、レモン栽培を始めた足立環さん(61)が、新たに「たまきファーム」の屋号で本格出荷、販売に乗り出した。ラグビーボール型の品種を「さわやかレモン」、皮をむきミカンのように生食できる品種「スイートレモン」を「しあわせレモン」と名付けた。県道青垣柏原線沿いの直売所で販売する。
レモンは約9割が輸入品。地場産レモンは、飲食店や製菓店から早くも引き合いが来ている。約500坪(1650平方メートル)の温室の4分の1に当たる、5年前に植えた20本が成園。先行していた、共に球に近い形をしたスイートレモン、小ぶりで酸味の強い姫レモンに続き、今季、ユーレカ種、リスボン種などのラグビーボールに似たレモンの代表品種が育った。バラ農家に加え、「第2創業」でレモン農家の看板を作った。「さわやか―」は2個入り約300グラムで350円、「しあわせ―」は5個前後入り約500グラムで500円。
レモンの花は四季咲き。早い品種で4月に花が咲き、10月に収穫する。最盛期が11、12月。果実が青いうちに収穫する生産者もいるが、「酸味が爽やかに感じる」と、黄色に色づいてから収穫する。
5年前、温室にホームセンターで買った苗を植えた。よく育ったことから、バラを縮小してレモンを増やした。新植した70本が育ち、計90本が成園になる3年後に生産量が3―4倍になる。
「あだちローズガーデン」として、1994年から切り花用のバラを生産している。2カ所あるハウスのうち1つをレモンに転用した。「たまたま植えたレモンがよく育ち、レモン農家になれた」と足立さん。「バラの温室があればこそできたこと。ハウス全体が成園になる頃に加工品作りもできれば」と話している。
直売所は、県道青垣柏原線沿いの「花義」(青垣町西芦田)向かいのテント。午前中に品が並ぶ。不定休。