兵庫県丹波篠山市内に多く残る、焼土肥料を作る土壁小屋「灰屋」の活用を模索している同市岡野地区の「おかの草刈り応援隊」が、灰屋でできた焼土肥料を使ったコンニャク芋栽培に初めて取り組んでいる。地元の岡野小学校や篠山産業高校にも取り組みを広げ、応援隊メンバー、児童、高校生が一緒に収穫した芋でこんにゃくを作った。
応援隊は、コンニャク芋が獣害に強いことに着目。応援隊が修復した矢代地区の灰屋で作った焼土肥料を使い、栽培歴10年の阪東進さん(同市)と、栽培歴5年で応援隊事務局の瀧山玲子さんの種芋を休耕地に植えた。コンニャク芋は、こんにゃくが作れる大きさになるまで収穫、保管、植え付けを3―4年繰り返すという。
瀧山さんが「地元の子どもたちにも灰屋の魅力を知ってもらいたい」と同小に投げかけたのを機に、9月に5年生(22人)が総合学習で灰屋6カ所を巡った。10月には阪東さんの畑を見学し、説明を受けた。
さらに、普段から児童と交流のある篠山産業高校にこんにゃく作りを打診。同高調理室で行うことにした。同高農と食科の「食の創造類型」3年生(16人)と、児童が下準備を行った。4キロと2キロになるまで大きく育った芋が用意され、たわしでよく洗い、皮をむいてゆでた。芋をミキサーにかけ、炭酸ナトリウムを加えて練り、おわんで成形して熱湯に入れた。児童たちは高校生たちに教わりながら、懸命に練ったり、成形したりした。食べるには、24時間水にさらす必要があるため、出来上がったこんにゃくは家庭に持ち帰った。
阪東さんは、児童や高校生たちに市販のこんにゃくとの味の違いを知ってもらおうと、刺身にして酢みそとワサビで振る舞った。児童や高校生たちは「おいしい」「プルプルしている」などと言い合いながら味わっていた。
錦織圭吾さんは「こんにゃくはいつも食べているものよりプリプリしていた」と笑顔。高仙坊暖流(あたる)さん(篠山東中出身)は「こんにゃくを刺身で初めて食べた。おいしかった。こんにゃく作りには時間がかかることを知った」と話していた。