ささやま医療センター「年7.6億円補助を」 協議で医大が市に打診 市長「非常に厳しい」

2024.01.17
丹波の地域医療地域注目

兵庫医科大学ささやま医療センター=兵庫県丹波篠山市黒岡で

兵庫県丹波篠山市黒岡にある兵庫医科大学ささやま医療センターの今後について同医大と協議している酒井隆明市長は、昨年末の協議で医大から現行の診療科の維持に、現行から約5.8億円上積みした「年間約7.6億円の補助金が必要」と打診されたことを明らかにした。酒井市長は、「予想していた金額とはあまりにかけ離れており、非常に厳しい」とし、「これ以上の赤字を出してまで病院経営はできないとはっきり言われたが、撤退すると言われたわけではないため、引き続き交渉は続けつつ、市民が安心できる医療体制のため、ありとあらゆることを検討していかなければならない」と述べた。現在の医大との協定は来年7月まで。

市によると、医大は12月26日の協議で、今年度の収支シミュレーションを提示(4―9月の半年間の概算を2倍した額)。常勤医がいる内科、総合診療科、整形外科、リハビリテーション科の基本診療科(医師20人)でマイナス約4.5億円、小児科(同1人、入院なし)でマイナス約6600万円、外科や産婦人科、皮膚科、耳鼻咽喉科など本院(西宮市)からの医師派遣による診療科でマイナス約6300万円の合計約5.8億円の赤字になるとした。

22年度の市からの補助金は運営補助金が1億2600万円、救急医療受け入れが5638万円の合計1億8238万円だったことなどから、補助金総額が約7.6億円ないと収支が取れないとし、「可能なら続けたい気持ちはあるが、赤字を出しながら医療センターを維持することについて、約3000人の職員に対して責任を果たせない」などと話したという。

酒井市長は、「四半世紀にわたって地域の中核病院として医療を守り、赤字を出しながらやって来ていただいたことには感謝する。しかし、民間病院であるため、これから先も同じようにはいかないということがはっきり分かった」とした。

市議会の議員全員協議会で報告。議員からは、「診療科目を絞って、県立丹波医療センター(丹波市)などと役割分担してもらうことはできないのか」などと質問があり、堀井宏之副市長は、「科目を絞って運営できる体制を示してほしいと言って出されたのがこの回答」と言い、酒井市長も、「いくらか補助を上積みすればいてもらえるのではという甘い期待があったが、そうではなかった」とした。

また、「行政として市民の命を守るのが第一の課題なのに、かなり厳しい答え。この結果をどう受け止めるのか」との声もあり、酒井市長は、「まだ交渉の途中だが、議員や市民の皆さんに厳しい状況にあることを伝えた上で、今後、どのように医療体制を築いていくか、いろんな可能性を考えていかなければならない」と答えた。

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