深化する造形に迫る 陶芸家・竹内紘三さんのテーマ展 もろさと強さ共存

2024.01.31
地域

「Modern Remains Existence」などが展示された竹内紘三さんのテーマ展会場=兵庫県丹波篠山市今田町上立杭で

兵庫陶芸美術館(同県丹波篠山市今田町上立杭)でテーマ展「竹内紘三展―Recollection」(同館、丹波新聞社主催)が開かれている。竹内さんは1977年、加東市生まれの陶芸家。白磁の四角い筒状の部品を構造的に組み上げ、焼成後に金づちで部分的にたたき割った作品「Modern Remains(現代遺跡)」シリーズのほか、金属や木材、ガラスなどの異素材を組み合わせた作品や、ブロックのような白磁のパーツを幾何学形態に構成した「現蹟」シリーズなど22点を展示。深化する“竹内さんの造形の今”に迫っている。2月25日まで。

「Modern Remains(現代遺跡)」シリーズは、作家活動を始めた2006年頃から取り組んでいる。遺跡や朽ちた建造物が持つはかなさ、失われた部分と現存する部分の拮抗するバランス、風化した物が醸し出す独特の空気感と美しさを表現しているという。

14年頃からは、磁土と異素材を対比させることで磁土の素材感を引き出そうと取り組み始めた。磁器が異なる素材と組み合わさることで生まれる透明感やぬくもり、艶やかさなど白磁だけでは表現できないものを取り込む狙いがある。

会場中央に飾られた「Modern Remains Existence」は、最大級(高さ121×幅84×奥行き80センチ)の作品で、5センチ以上の白磁の角柱を複数連ねて焼成し、鉄と組み合わせている。荒々しく割られた白磁の断片から生まれる繊細な陰影と、頑丈な鉄によって、もろさと強さを共存させた迫力のある造形が来場者の目を引いている。

「現蹟」シリーズは、表面に釉薬と砂を付けて焼成した後に削ることで、ざらっとした独特の表情を作り上げている。海外の石の建造物や古びた遺跡、日本の神社仏閣などが持つ堅牢さや、朽ちてもなお残る存在の強さの可視化を試みたという。

観覧料は、同時開催中の特別展「令和の新収蔵品展」の料金に含まれる(大人600円、高校生以下無料)。午前10時―午後6時。休館日は月曜(2月12日は開館し、2月13日は休館)。

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