戦争の悲惨さ伝える 高橋勝記念館・三宅剣龍美術館/兵庫・丹波篠山市

2024.02.23
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当たり前にありすぎるけれど、住民が大切にしていきたいもの「世間遺産」―。丹波新聞では、兵庫県丹波地域の人や物、景色など、住民が思う”まちの世間遺産”を連載で紹介していきます。今回は、兵庫県丹波篠山市向井にある私設の「高橋勝記念館・三宅剣龍美術館」です。

高橋勝さんの将校マントなどが並ぶ館内=兵庫県丹波篠山市向井で

陸軍将校、農協職員だった故・高橋勝さんが2013年4月、シベリア抑留の経験から、「二度と悲しい歴史を繰り返してはならない。次世代に思いを伝えたい」と、私財を投じて建てた。1階には、将校のマントや帽子、リュック、シベリア抑留の体験記などのほか、むしろ打ち機、わら打ち機、俵編み機などの古い生活用品など100点以上が並ぶ。2階には、国際的に活躍した書家、三宅剣龍さん(丹波篠山市西岡屋出身)の受賞作品など約50点が並ぶ。

三宅さんは、高橋さんの妻、幸子さん(12年没)の兄。三宅さんの遺志による基金を活用した「三宅剣龍賞」は芸術・文化の高揚に寄与した市民をたたえた賞で、毎年、市が表彰しており、今年は今月11日に表彰式が行われる。

田園の中になまこ壁の建物が映える記念館

三宅さんは2016年に、高橋さんは昨年6月に亡くなった。現在、同館は高橋さんの長女、栄子さん(73)が切り盛りしている。開館時ほどの来館者はないものの、昨年は高齢者夫婦が来館し、古い農機具を見て懐かしがったり、10月には城南小学校6年生が平和学習で訪れたりした。

栄子さんは「何か役に立つことはないか」と、丹波篠山国際博での活用を検討。「細々とやれるところまで続けたい」と父の遺志を引き継いでいる。

 

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