能登地震被災者に「元気」を 阪神・淡路経験者らが慈善ライブ 継続的支援へ「第一歩」

2024.02.22
丹波市地域注目

チャリティーライブのチラシを手に、来場と支援を呼びかける実行委員のメンバーたち=兵庫県丹波市春日町国領で

石川県能登半島地震の被災者に元気を届けようと、29年前の阪神・淡路大震災を経験した兵庫県丹波市民ら6人でつくる「丹波チャリティイベント実行委員会」(委員長=三澤孝夫さん)が25日午前11時―午後4時、国領ふるさと館(同市春日町国領)でチャリティーライブを開く。市内外のミュージシャンや和太鼓、ダンスグループなど10組が出演。集まった寄付金は被災地へ届け、秋ごろには、現地で被災者の心を癒やすチャリティーライブの開催も考えている。実行委員たちは「支援を1回で終わらせるつもりはない。動き出す第一歩」と、ライブに懸ける思いを語る。入場無料。

地元勢では、和太鼓グループ「甲賀流氷ノ川太鼓振興会」や、実行委員で、国領のウナギ専門店「うなぎ辻判」の若女将・上田裕美さん(47)=春日町国領=が所属するバンドなど6組が出演。ゲストとして、シンガーソングライターのヒビナオヒロさんや、ロックバンド「ミスター・チルドレン」のものまね歌手、ヒルゾウさんらを招く。地元ラジオ局、FM805たんばの番組「巨匠と(若)女将の食べるラジオ」で共演する、パン店「市島製パン研究所」を営む三澤さん(62)=同市市島町喜多=と上田さんが司会を務める。

26万人以上が登録するユーチューブチャンネル「パンものがたり」で無料生配信し、動画を被災地へ届ける。会場では、豚めしや北陸産焼き魚を詰めた弁当、サンドイッチ、コーヒーなどの飲食メニューも販売。飲食、配信の投げ銭(配信者への送金機能)の収益も被災地支援に充てる。

◆町は燃え 人は血だらけ「違う世界」

実行委員の中には、阪神・淡路大震災の惨状を知る人たちがいる。

西宮市で有名パン店「エスケール」を営んでいた三澤さんは、パン工場が半壊し、神戸市兵庫区に住む家族も被災した。三澤さんの友人で、音響エンジニアの堀部潔さん(62)=西宮市=は実家が全壊。上田さんも神戸市東灘区で被災し、「2階が1階になった」パチンコ店や、火災で焼け落ちる商店街を目の当たりにした。

三澤さんは「血だらけになり、燃える町を普通に歩く人たちがいた。いきなり違う世界に放り込まれた感じ」と振り返る。

◆東日本被災地でライブ続け12年

2011年に東日本大震災が発生。三澤さんと堀部さんは「助けてもらった恩返しを」と、知り合いのミュージシャンらと共に車に機材を積んで被災地へ向かい、小学校や仮設住宅、避難所などでチャリティーライブを行うようになった。

ライブは12年間で10回を数える。ハンバーガーも振る舞い、「音楽と食」で被災者の心を癒やした。継続的に足を運ぶことで交流が深まり、小学校の卒業式に招かれるほどの関係性になった。

先月の能登半島地震の一報に心を痛め、「いてもたってもいられず」(三澤さん)、チャリティーライブを企画した。「応援する人がこれだけいると伝えたい」と三澤さん。「被災者が一番怖いのは忘れられてしまうこと。ライブやパンの提供など、細く、長く支援を続けていきたい」と誓う。

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