高齢化や空き家の増加で放置される柿の加工品を使った「柿スイーツレシピコンテスト」(兵庫県丹波篠山市主催)の最終審査が同市内で行われ、最優秀賞に同市立今田小学校1年の清水理叶さんの柿ジャムアイス「つめたいかきたち」が選ばれた。1次審査を通過した6点が実食審査された。レシピは清水さんの発案で、母の綾乃さん(34)が手伝ったという。清水さんは「(表彰式で)ママが泣いているのを見て、なぜだか涙が出た」と、母親と共に最優秀を喜んでいた。
清水さんは「最初はパンケーキにしようかと思ったけれど難しそうだったから、アイスだったら簡単そう」とひらめいた。作り方は、▽卵黄と砂糖を混ぜる▽生クリーム、牛乳、柿ジャムを入れて混ぜる▽冷凍庫で1時間冷やす▽混ぜる▽再び冷凍庫で1時間冷やす▽混ぜる▽固まるまで冷凍庫に入れる―。
コンテストでは、誰でも手軽に作れるスイーツが求められていたことから、「包丁も火も使わず、子ども一人で作れる」レシピを特徴として打ち出した。
制限時間90分の調理とプレゼンテーション、実食による2次審査は、清水さんが都合により欠席し、綾乃さんが代理で審査に臨んだ。表彰式で綾乃さんは「帰って良い報告ができるのでうれしい。頑張ったね、と声をかけたい」と涙した。
審査員の一人で市飲食業組合長、丹波篠山雪岡市郎兵衛洋菓子舗の雪岡孝征さんは「柿の味がしっかりして、アイスとのバランスも良い。誰でも簡単に作れて、柿もたくさん食べてもらえる」と講評した。
コンテストは、サルが食べに里へ下りてくる前に収穫する“獣がい”対策イベント「さる×はた合戦」(みたけの里づくり協議会主催)で収穫した柿を使い、篠山東雲高校の生徒が商品化したジャム、パウダー、ドライフルーツのいずれかを使うのが条件。
市内外から65点の応募があった。▽食材を生かしているか▽味、風味、食感▽手軽に調理しやすく、材料の入手がしやすいか▽アイデアの斬新さ、ネーミングの工夫▽見た目、盛り付けの良さ―を項目に50点満点で審査した。
実質3位の審査員特別賞の「ほっぺたおちちゃった柿大福」を出品した篠山産業高校3年の片浦一妃さんと太野垣香帆さんは「皆さんにおいしいと言っていただき、受賞することができてうれしい」と喜んでいた。同じく審査員特別賞の「2種の柿ジャムと紅茶のふんわりムース(サクサク柿クッキー添え)」を出品した古林恵美さん(50)は「皆さんに話しかけていただき、リラックスして臨むことができたので、最後までしっかりと作ることができた」と受賞を喜んだ。
2位は「福知山市に住んでいた時によく篠山の店を探していた」という渕元優佳さん(58)=奈良県=の「放置柿を大切に!ほっこりおいしい柿のパウンドケーキ」、もう一つの奨励賞は、「おいしそうな食材が揃う丹波篠山に興味があり、2次審査を兼ねて観光がしたくて」と参加した倉田千鶴さん(31)=東京都=の「柿ジャムと白あんのどらやき」。
2次審査に進んだ6点を掲載したレシピリーフレットを3月末までに市が発行する。