全国から集まった農産物の栄養価や味を審査する「身体に美味しい農産物コンテスト」(日本有機農業普及協会主催)で、有機農業の技術を通年で学ぶ兵庫県丹波市立農の学校が出品した黒キャベツ「カーボロネロ」が、その他部門(56点)で最優秀賞(3点)に輝いた。分析の結果、栄養価や糖度の数値が平均を大きく上回った。同校は昨年、ロマネスコで優秀賞に選ばれており、最優秀賞選出は初めて。
同校のカーボロネロは抗酸化力、ビタミンC、Brix糖度が、平均値と比べて1・5―2・2倍と、いずれも高い数値を記録。硝酸イオンは下限値以下に抑えた。甘みがしっかりとありつつ、あっさりとした味わいが評価された。
栽培の主担当は、ほ場スタッフの藤田直也さん(29)と、今年度の5期生、辻剛宏さん(56)、工藤翔佳さん(26)。
同校の専任講師、神川健太さんの指導のもと、土壌を分析し、ミネラルや窒素の配分などに配慮する「BLOF理論」に基づく栽培を実践。緑肥作物をすき込んだり、透明なマルチを張って太陽光を浴びさせたりした。
辻さんは、農業関係の会社で約30年勤め、脱サラし、「環境に優しい野菜を提供できる生産者になりたい」と入学した。卒業後は市島町上垣で農地を借り、就農予定。
工藤さんは、長野県木曽郡王滝村の元地域おこし協力隊員。活動する中で、耕作放棄地の増加や獣害といった農業の課題解決に貢献したいと考えるようになった。「経験がないところからでも栄養価が高い作物が作れて自信になった」と喜んだ。