発達障がいがあり療育手帳を持つ切り絵作家「ニモ」こと、吉川惠弥子さん(28)=兵庫県丹波篠山市=の実演と販売会が、同県丹波市のプリザーブド花工房フルールであった。カッター1本で静物画を精緻に切り出しつつ、接客をした。中学校の「自立活動」を通じ、自身がいきいき輝ける創作活動と出合った。
篠山中学校特別支援学級1年生の時に始めた。篠山養護学校を経て、地域活動支援センターWANT(丹波篠山市南新町)で、作業の一つとして作品制作に取り組んでいる。休日を利用し、自身の活動を知ってもらおうと、実演会を開いている。元養護教諭で、NPO法人・タッチングアロマ笑香の吉竹節子理事長と同時期に篠山養護学校に在籍していた縁で、一緒にイベントに出る機会が多く、今回も吉竹さんに誘われ出店した。
風景、静物、人物、動物など何でも手がけ、本のしおり(100円)からA3サイズの大作まで作る。中学1年生で手にして以来使い続けている愛用のカッター1本で、曲線や、ミリ単位の狭い枠線の切り抜きもこなす。
写真を図案化し、オリジナル切り絵(3000円)を受注生産。図案化は妹、販売は母が手伝う家内制手工業。制作は作業所でし、自宅では好きな音楽やアニメなどに囲まれて過ごしている。
ニモさんは「しんどくない。楽しい」と笑顔。母の万佐子さん(56)は「デモンストレーションをし、売れることが娘のモチベーションにつながっている。対価を得るのは喜び。売れたら、次の在庫作りなど、自分でスケジュールを管理して熱心に取り組んでいる」と目を細めている。