手を動かし脳も活性化
92歳の今も現役でそろばんの先生をしており、曽孫2人を含めて6人の小中学生が教室に通っている。「もうけはないが、子どもが伸びてくれるのが楽しみ」とほほ笑む。
篠山鳳鳴高校を卒業後、郵便局員になった。事務の仕事で必要だからと、習いに行ったのがそろばんとの出合い。好きだったことと、努力のかいあって、3年間で師範免許をスピード取得した。
28歳の時、青年団の文化活動で「教えてもらえないか」と頼まれたのがきっかけで、そろばんを教え始めた。地元の中学校の珠算部に講師で行ったり、旧西紀町の自治会の集会所で子どもたちに教えたりしていたこともある。保護者が全て段取りをしてくれて、多い時は5カ所を回っていたという。
その後、自宅そばの小屋を改装して教室を開き、親子3代にわたって教えた家族もいる。そろばんを生かして、銀行へ就職した教え子が3人。「そろばんができて良かったと言ってくれたのがうれしかった」
50年余り前、伊丹市で開かれた県大会で団体優勝したことも思い出だ。西紀小学校6年生の女子4人でチームを組み、小学生の部で優勝。「当時、伊丹の教育長が西紀出身の人で、喜んでくれた」と思い出を語る。
毎日10―30分間、そろばんをはじくのが日課。「手をずっと動かすので、脳の活性化になっている」と“そろばん効果”を実感している。耳もしっかりと聞こえる。塾の読み上げ算で声を張るため、喉の衰え防止にもなっているとか。「人生100年時代と言われるので、100歳までそろばんを続けたい」