兵庫県丹波篠山市にある国史跡「篠山城」の堀を散策していると、野鳥の「バン」に出会った。ハスの葉が埋め尽くす水辺はさぞ泳ぎにくかろうと思っていると、「ピョンッ」と葉の上に乗り、悠々と歩き始めた。その姿はまるで忍者のようだ。
全長約30センチ。体は全体的に黒く、額とくちばしが赤いのが特徴。水かきがないため泳ぎは苦手な一方、長い指を持ち、泥の中も器用に歩き回る。水田を外敵から守るとして、「田の番をする鳥」が名前の由来だそう。
時折、「キュルルル」と鳴き声を上げる様子を眺めていると、突然、ハスの上に乗り、お散歩開始。ハスの浮力にも驚かされるが、バンの器用な足さばきも見事で、葉から葉へとジャンプする姿も見られた。長い指が体重を分散しているのかもしれない。
ハスの葉が浮かぶ夏の間だけ見られる光景で、軽やかな身のこなしと赤い顔で葉の上をゆく姿は、水の上を走る忍術「水蜘蛛」を使った忍者のよう。思わず、「仮面の忍者 赤影参上」と渋い声でつぶやきたくなった。
【丹波新聞鳥部】(※コメント欄より、弊社の活動を命名していただきました)