兵庫県丹波市市島町上田の左官業、吉見左官工業が、モデルハウスとモデルガーデンを兼ねたカフェ「Y’s Garden Cafe(ワイズガーデンカフェ)」(同)をオープンした。代表の吉見祐二さん(58)と、同市内の学校給食センターで調理員として17年勤めた妻、みゆきさん(58)の「やりたかったこと」を具現化。施工技術を結集し、壁には体に優しい漆喰を塗った店内や、開放的な気分で憩えるように工夫を凝らした屋外席で、本格的な手作りスイーツなどを味わえる。
退職後、京都府福知山市のパン・ケーキ教室「ラディユMAKI」に通ったみゆきさんが腕を振るい、妹の大橋亜衣美さん(41)と二人で営む。
発酵バターを使ったパンや、地元で採れた旬の食材などを生かしたケーキを日替わりで出す。クローネやフィナンシェ、フロランタン、カヌレ、台湾カステラなどの多彩な焼き菓子も用意する。コーヒー愛好家の知人が自家焙煎した豆を使用。酸味が少なく、しっかりとした苦みを味わえる。
から揚げやハンバーグなどのメイン、おにぎり、小鉢、みそ汁などがセットになった、平日限定の週替わりランチも提供している。
木造2階建ての新築。吹き抜けの洋風デザインに仕上げた。壁に塗った漆喰は、湿度調整や消臭に優れ、カビも生えにくいため、体に優しい。
屋外席のある庭は「子どもや犬と一緒に安らげる」がコンセプト。バラやアジサイなどの花々や、オリーブ、モミジ、シャラといった木々を植えた。ガラス張りの「ガーデンルーム」も設けた。夏にはドッグランも開設予定。山々の光景やのびのびと走り回る愛犬の様子を見ながらくつろげる。
近年、施工時間が短く、費用が抑えられる壁紙のクロスが台頭。伝統的な漆喰の魅力や、同社の技術をアピールする展示場が欲しかった祐二さんと、ドッグカフェを開業したい夢を持っていた愛犬家のみゆきさんが「一石二鳥」と、新規事業として展示場を兼ねたカフェを開業することにした。
新型コロナウイルス禍後の業態転換を支援する経済産業省の「事業再構築補助金」を活用した。
祐二さんは「昔ながらの工法を用いながら、今風の雰囲気が演出できることを知ってほしい」と話す。みゆきさんは「『また来たい』と思ってもらえるような居心地の良い店にしたい」とほほ笑んでいる。
営業は午前11時―午後5時、日、月曜定休。問い合わせは同店のラインやインスタグラムで。