兵庫県丹波市北部と朝来市との市境に近い国道427号遠阪峠の麓、丹波市青垣町遠阪に移住した77歳の女性が、自宅で週末営業のカレーうどん店を始めた。だしの旨味を閉じ込めたあんかけでなく、じゃがいもなどの具をゴロゴロ入れた自作の「家カレー」をだしで割った家庭の味。「うどん屋を名乗ったら、いろんな種類を作らんといかんから。作れないし」と、カレーうどん一本で、のんびり営業。カレー色の黄色ののぼりが目印だ。
「カレーうどん ふくい」。西宮市から夫の福井友治さんとIターンした節子さんが1人で切り盛りする。メニューは、カレーうどん(700円)のみ。ガーリックライス付きが800円。コーヒー(100円)など飲み物は多数。こしのない太麺「伊勢うどん」を使っている。牛すじと、畑で採れた野菜が具。ニンジンは栽培に失敗した。
カレーライスはない。「ご飯にかけたらええようなもんやけど、ややこしい。ガーリックライスにかけて食べて」
広い土間が気に入り、築年数不明の一戸建てを20年ほど前に購入。5年前に友治さんが先に完全移住した。移住後、木工にはまり、囲炉裏付きテーブルなど家具を次々とこしらえた。漠然と考えていた、「いつか田舎で店ができたら」の思いを形にする時が来た。「その年でよう店を始めるねえ、とびっくりされる。自分の年齢を忘れてるわ」と笑う。
節子さんは、阪神淡路大震災で被災し店を失うまで、西宮市役所近くで定食と一品を出す店を二十数年営んでいた。うどんは出していなかった。
趣味の卓球に打ち込むため、青垣と西宮の2拠点生活。週末のみ、1人で提供できる献立を相談した友人に勧められたのが、カレーうどん。「寒い時期に相談したからカレーうどんだったんだろう。伊勢うどんを使うのも、その友だちが麺にルーがよくからむと勧めてくれた」と、深い理由はないと明かす。
近所の人が来店し、おしゃべりに使う程度でいい。「もうけがどうやない。ぼけ防止。ぼちぼち長く続けたい」
カレーさえあればいつでも提供できるが、一応、営業時間を決めている。午前11時―午後3時、午後5―7時ごろに開ける。