メニューは「カレーうどん」1本 77歳女性が店開業 「ぼけ防止」に週末営業

2024.07.30
丹波市地域注目

カレーうどん一本で、77歳で店を始めた福井節子さん=兵庫県丹波市青垣町遠阪で

兵庫県丹波市北部と朝来市との市境に近い国道427号遠阪峠の麓、丹波市青垣町遠阪に移住した77歳の女性が、自宅で週末営業のカレーうどん店を始めた。だしの旨味を閉じ込めたあんかけでなく、じゃがいもなどの具をゴロゴロ入れた自作の「家カレー」をだしで割った家庭の味。「うどん屋を名乗ったら、いろんな種類を作らんといかんから。作れないし」と、カレーうどん一本で、のんびり営業。カレー色の黄色ののぼりが目印だ。

「カレーうどん ふくい」。西宮市から夫の福井友治さんとIターンした節子さんが1人で切り盛りする。メニューは、カレーうどん(700円)のみ。ガーリックライス付きが800円。コーヒー(100円)など飲み物は多数。こしのない太麺「伊勢うどん」を使っている。牛すじと、畑で採れた野菜が具。ニンジンは栽培に失敗した。

カレーライスはない。「ご飯にかけたらええようなもんやけど、ややこしい。ガーリックライスにかけて食べて」

広い土間が気に入り、築年数不明の一戸建てを20年ほど前に購入。5年前に友治さんが先に完全移住した。移住後、木工にはまり、囲炉裏付きテーブルなど家具を次々とこしらえた。漠然と考えていた、「いつか田舎で店ができたら」の思いを形にする時が来た。「その年でよう店を始めるねえ、とびっくりされる。自分の年齢を忘れてるわ」と笑う。

節子さんは、阪神淡路大震災で被災し店を失うまで、西宮市役所近くで定食と一品を出す店を二十数年営んでいた。うどんは出していなかった。

趣味の卓球に打ち込むため、青垣と西宮の2拠点生活。週末のみ、1人で提供できる献立を相談した友人に勧められたのが、カレーうどん。「寒い時期に相談したからカレーうどんだったんだろう。伊勢うどんを使うのも、その友だちが麺にルーがよくからむと勧めてくれた」と、深い理由はないと明かす。

近所の人が来店し、おしゃべりに使う程度でいい。「もうけがどうやない。ぼけ防止。ぼちぼち長く続けたい」

カレーさえあればいつでも提供できるが、一応、営業時間を決めている。午前11時―午後3時、午後5―7時ごろに開ける。

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