生涯通した47点展示 日本画家・中尾英武展 父の山本茂斗萠氏の作品も

2024.07.01
地域

日本画家の中尾英武さんの作品を集めた展覧会=兵庫県丹波市氷上町西中で

兵庫県丹波市柏原町出身の日本画家、中尾英武さん(1943―2021)の作品を集めた展覧会が植野記念美術館(同市氷上町西中)で開かれている。初期から晩年までの47点を展示、作風の変遷や画業を伝えている。父親で同じく日本画家の山本茂斗萠さんの作品も展示している。中尾さんの遺族から二人の作品が丹波市に寄贈されたのを記念して企画した。7月15日まで。

中尾さんは、山本さんと同様に近代京都画壇を代表する画家、堂本印象に師事し、印象の画塾「東丘社」に所属。東丘社展に加え、日展でも活躍し、2度の特選に輝いた。

中尾さんは初期の頃、朝市や漁港で働く人をよく画題にした。展示作品の「能登の朝市」もその一つ。厳寒の中、防寒着を着込み、包丁を持った女性が魚をさばいている姿を描き、市井に生きる人のたくましさを伝えている。

2000年に日展で2度目の特選に輝いた「ひととき」は、椅子に腰かけた女性の膝の上に載っている本の赤と、背景の青の配色が鮮やかな作品。日展に出した最後の作品「かごのとり」は、女性のそばにいる3羽のフクロウの足がひもでつながれているのが印象的。後年に近づくに従い、白や淡い色が目立つようになった画風がよく表われ、全体が白っぽい色調になっている。

父親の山本さんは、好んで舞妓を描いたが、中尾さんも和装の女性の作品を多く残した。展覧会では、それぞれの舞妓の作品を展示しており、父子の作品を見比べることができるのも見どころになっている。

一般310円、大学・高校生210円、小中学生100円。

関連記事