公設施設活用へ再公募 宿泊用途に限らず提案募る 建物譲渡も可「にぎわいの場所に」

2024.08.01
地域注目観光

民間事業者による運営の再公募が行われている「王地山公園ささやま荘」の外観=兵庫県丹波篠山市河原町で

兵庫県丹波篠山市河原町にあり、2019年8月末から休館している公設宿泊施設「王地山公園ささやま荘」について、市は施設を運営する民間事業者の公募を始めた。これまでにも公募の上、一度は運営候補者を選定したこともあったが、コロナ禍を受けて事業者が辞退し、白紙に。その後、近接地で計画された「ルートイングループ」によるホテル建設の動向を見守るため一時、活用を保留していたが、新ホテルが着工したことを受けて、再公募を行うことになった。活用内容や再オープン時期は、応募者の提案次第。審査を行い、今年12月中に運営候補者を決定する予定。

施設は鉄筋コンクリート造り3階建てで、延べ床面積2578平方メートル。宿泊機能は洋室のシングルが7部屋、ツインが10部屋、和室が6部屋、和洋室が1部屋。大宴会場や広間、レストラン、大浴場、売店などもある。

前回公募と同様、応募事業者から事業計画を募る「プロポーザル方式」で実施。土地は賃借のみだが、建物は譲渡も可能で、譲渡費用や土地の借地料も、事業者から提案を受ける。

「地域のにぎわいと活性化につながる活用」であれば活用内容は自由で、宿泊や飲食、浴場など、これまでの機能にこだわる必要はない。また、既存施設を撤去し、更地にしてからの活用も可能。名称は継続して使用することもでき、変更も認める。ただし、改修や改築も含めて、市からの経費負担は予定していない。

希望者は現地見学も可。8月30日まで質問などを受け付け、9月末から11月29日まで事業提案書を受け付ける。12月上旬に提案者がプレゼンテーションを行い、同月中下旬に優先交渉権者を決定する。

応募者は市内外を問わず、法人・個人、複数の法人グループでも可能。

提案内容は自由だが、これまでに活用を考えてきた「あり方検討会」は、「事業者に求めたいこと」として、▽河原町のまちなみや王地山の自然、王地山稲荷などとの一体的な活用▽地域住民との対話や連携―を挙げている。

また、地元からは、▽市民も観光客も楽しめるレストランや浴場▽都市公園も含めた野外活動施設▽景色を楽しめるレストラン―などが期待されている。王地山は地域住民らが樹木を伐採して眺望を改善するなど、地域のシンボルとして愛されていることから、地元との協調性を重視する。

同施設を巡っては、休館後の2020年、市内企業を運営候補として決定し、従来の機能で運営する予定だったが、コロナ禍を受けた翌年、「実現は困難」として辞退。あり方検討会で今後を議論しつつ、ルートインによる「グランヴィリオホテル丹波篠山 和蔵」(仮称)の建設計画が具体化するかどうかが、ささやま荘の活用内容にも影響を与えることから、事業者公募を保留していた。

担当の市商工観光課によると、これまでにも活用の問い合わせや内部の見学申し込みなどが複数あったという。同課は、「ルートインが着工されたことで、再度、公募を行うことができた。地域のにぎわいの場所として、どのような活用方法が提案されるか楽しみ」としている。

ささやま荘 昭和38年(1963)に国民宿舎として開館し、昭和59年(1984)に宿泊棟の新館が完成。国民宿舎としては平成13年(2001)に閉館し、改築・改修を経て翌年から、クリエイトささやま(現・アクト篠山)が受託管理し、「王地山公園ささやま荘」としてリニューアルオープンした。その後、利用者が減少し、19年4月には宿泊・浴場事業を停止。8月に休館した。

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