戦争物語る教科書 資料館で夏季企画展 活躍の兵士を英雄視

2024.08.15
丹波市地域歴史注目

戦時に使用され、会場で展示されている教科書。激戦地での兵士の活躍ぶりなどが書かれている=兵庫県丹波市春日町黒井で

兵庫県丹波市内の小学校で明治から昭和の終戦前までに使われていた教科書を展示する夏季企画展「教科書がものがたる戦争」(同市教育委員会主催)が、春日歴史民俗資料館(同市春日町黒井)で開かれている。戦地で活躍した兵士を英雄視する内容から、若者を戦争へと駆り立てた時代背景をひもとく。9月16日まで。

国語や音楽、現在の道徳に当たる修身など17冊を展示。市内の資料館や図書館で所蔵されている教科書を厳選した。

国語の「三勇士」という物語では、第1次上海事変の際、破壊筒を持って敵陣へ突撃し、命と引き換えに突破口を開いた3人の工兵の実話が描かれている。当時、子どもたちの間では「爆弾三勇士ごっこ」が流行した。

真珠湾攻撃が題材になった歌「特別攻撃隊」が載る音楽の教師用教科書には、「忠勇義烈に感激させ、忠君愛国の精神を養ふ」という指導趣旨が記載されている。

市教委の担当者は「戦争で活躍し、国のために尽くすのが当たり前と刷り込まれていた時代。子どもたちには今の時代との違いを知ってもらい、平和の大切さを感じてほしい」と話す。

実物はショーケースで展示。春日の資料館と市内各図書館で、展示している教科書のコピーを手に取って閲覧できるようにしている。

入館料は一般210円、中学生100円、小学生50円、小学生未満無料。開館時間は午前9時―午後5時。月曜休館。

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