丹波篠山ここいろ農園 山本大智さん(丹波篠山市)

2024.09.01
たんばのひと

山本大智さん

「探究心」で技術確立へ

12年間務めた会社を脱サラし、一昨年から丹波篠山特産の黒枝豆(黒大豆)を中心に手がける専業農家へ転身した。止められない「探究心」を武器に、おいしくて栄養価のある農作物を安定栽培できる技術の確立を目指している。「都市部の方々や子どもたちに、いろんな農業体験を提供し、非日常のひとときを味わってもらえる観光農園にしていくことが夢」

先祖から受け継いだ1・2ヘクタールの農地で、父・泰晴さん(66)と、時々6歳の愛娘が加わってにぎやかに汗を流している。モットーは「試して、知って、良くしていく」。複数の有機農家を手伝いながら、そこで得られた経験や知識を自身の農園にフィードバックし、作物の生育状況や食味を確認しながら自分に合った農法を探っている。屋号には「ここでいろんなことを試していきたい」という思いを込めた。

大学卒業後、消防車などの特殊車両の開発・製造・販売を行う企業の設計職に従事。以前から農業には関心があった。「このままでいいのか」―。仕事に対する志しを見つけられない焦りや、娘の誕生を機に芽生え始めた「家事や育児に携わりたい。でも働きたい」という「わがまま」をかなえるため、小学校教諭として働く妻の理解と協力で“半農半主夫”に。「農業も新米。家事も妻が求めているクオリティーには達しておらず、どちらもまだ見習い」と苦笑いする。

「農業は大変。でも四季の移ろいに感動し、人とのつながりに感謝して、『生きている』ことを実感できている。今は周囲に助けられてばかりだけれど、一日も早く妻に『自立できた』と胸を張れるよう、努力を重ねたい」。37歳。

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