バレー新リーグ開幕へ スパイク武器の足立溜奈選手(姫路) 初代王者へ「『100%』出す」

2024.10.08
丹波市地域注目

新設される「SVリーグ」に参戦するヴィクトリーナ姫路の足立選手(チーム提供)

11日に開幕するバレーボールの新たなトップリーグ「SVリーグ」に、兵庫県丹波市出身の足立溜奈選手(23)が所属する女子チーム、ヴィクトリーナ姫路が参戦する。昨季のVリーグ2部では18戦全勝と圧倒して優勝。足立選手もほぼ全試合に出場し、要所でスパイクを決めてチームに流れをもたらした。新シーズンに向け、「SVリーグの初代チャンピオンを目指し、チームの合言葉でもある『100%』の力を出し切る」と力を込める。

身長176センチのミドルブロッカー(MB)。スパイクの最高打点は3メートル近くに達する。昨季は、2試合の出場に終わった1年目から出場機会を増やし、17試合に出場。主にゲーム途中から入り、33得点を決めた。アタック決定率は35・9%と高い数字を誇り、ビハインドの悪い流れを断ち切った試合もあった。

足立選手は「『何かを変えたい』と起用してもらっていたと思う。相手のブロックを見ながら、セッターに『ここ空いてるのでトス下さい』と、自分で考えて要求できるようになった」と、昨季の成長を振り返る。

試合で高い打点から力強いスパイクを放つ足立選手(チーム提供)

持ち前のスパイク力を買われ、現在は本職のMBだけでなく、セッターの対角に位置するオポジットでも起用されている。「対戦するチームも試合数も増え、チャレンジの年になる。どんな起用になるか分からないけれど、『起用したら点につながる』と、信頼してもらえる選手になりたい」と闘志を燃やす。

小学校1年の頃、地元の少女バレーボールクラブでコーチを務める父の影響でバレーを始めた。中学校でも続け、3年間で身長は一気に10センチほど伸びた。

地元の丹有地区から選抜された選手が集まる練習会で兵庫県内屈指の強豪、氷上高校女子バレーボール部の川釣修嗣監督から誘われた。丹波市から入部する選手は少なく、「『まさか』。上の空になった」と笑う。練習を見て「その場の勢い」で入部を決めた。

同部は全部員が入寮し、バレーに懸ける毎日を送る。「試合や練習に臨む上で、プレー以外にも気の持ち方や、掃除などの私生活の大切さを学んだ。誰のためでもなく、自分から行動できるようになった。高校時代の経験が今の基礎になっている」と話す。厳しい練習を乗り越え、レギュラーを獲得。全国高校総合体育大会(インターハイ)にも出場した。

高校卒業後は東京女子体育大学に進学。1年時からレギュラーの座をつかみ、東日本バレーボール大学選手権大会(東日本インカレ)の準優勝などに貢献。4年時には関東1部秋季リーグでスパイク賞を獲得する活躍を見せ、当時Vリーグ1部に所属していた姫路に入団した。

地元などで部活の廃部が進み、ジュニアチームの存続も厳しい状況に「子どもたちにバレーを見てもらい、『楽しそう』『やってみたい』と思ってほしい。学生時代の自分を知る人からすれば、一番続けそうにない選手だったと思う。ずっと試合に出られなくても、何かしらのチャンスや運でうまくいくこともある」と話す。

姫路は12日に今季初戦を迎える。アウェイでPFUブルーキャッツ石川かほくと対戦する。

◇足立選手のヒミツ
休日の過ごし方 かぎ針編みでポーチやカバンを作る
丹波でお気に入りの場所 春日町の和洋菓子店「やながわ」。特にモンブランが好物
試合前のルーティン 家の掃除。そわそわする心を落ち着かせる

◆SVリーグ 従来のVリーグ1部に代わり、今季から新設される。2027年までのプロリーグ化、30年には世界最高峰のリーグにすることを目指す。事業規模やホームアリーナ確保といった条件を満たした男子10チーム、女子14チームが参戦し、それぞれ44試合を戦う。

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