兵庫県警丹波署は29日、特殊詐欺被害を未然に防いだとして、前山(さきやま)郵便局(丹波市市島町)に感謝状を贈った。交流サイト(SNS)のフェイスブックで知り合った女性を名乗る相手から投資話を持ちかけられ、高額を振り込もうと来局した同市内の男性(53)の様子を、窓口対応した局員が不審に感じ、同署に通報した。
同署によると、男性は相手とやり取りを重ねて恋愛感情を抱き、結婚まで視野に入れていた。その相手から「高級ワインを買えば値段が上がってもうかる」と言われ、購入費として来局までに180万円をだまし取られていた。
男性はさらに購入費として限度額を超える90万円分を送金しようと来局。局員の石田風斗さん(26)は「送金先が分からない。30分後に連絡が来るはず」などと説明を受け、送金先の口座名義が外国人だったことから「黒っぽい」と疑った。送金目的を尋ねると「知り合いに投資を勧められた」と言われ、詐欺と確信。余田紀章局長(48)に相談し、同署に通報した。署員到着まで送金処理にあえて時間をかけた。
余田局長は「『気付き』が一番大事。お客さんの電話の様子などには日頃から気を配っている」と言い、石田さんは「被害に遭われたお金から次の被害につながる。一人でも被害に遭う人を減らせたのがうれしい」と話した。