兵庫県丹波篠山市で来年3月2日に開催予定の「第45回丹波篠山ABCマラソン」(定員8000人)のエントリー受け付けが始まっている。近年の定員割れを受け、制限時間を緩和して「6時間半」とするほか、新たにリレーマラソンを導入するなど改革に着手。また、参加賞のTシャツなどをスタイリッシュな〝シュッとした〟デザインに変更するなど、従来からの「変革」を前面に打ち出している。事務局は、「都市型マラソンの誕生やランナーの意識の変化で、受け付け開始直後に定員が埋まるような〝バブル〟は弾けた。ランナーに『走りたい』と思ってもらえる大会にするため、できることは最大限する。生まれ変わった大会を見てほしい」と呼びかけている。
制限時間やリレーマラソンの導入などは、今年6月に開いた実行委員会で決定。制限時間(これまでは5時間20分)については、「一番のネック。新しいランナーを迎え入れようとするなら緩和を」という意見を受け、1時間10分延長した。
定員100組のリレーマラソンは、2人で1区(19㌔)と2区(23㌔)に分かれて、42・195㌔を走るもの。近年、全国の大会で人気を呼んでおり、事務局は、「2人で走る楽しさや、『次は1人でフルマラソンに』などと、次の大会参加につながれば」と期待する。
この他、全国でアスリート向けのサプリメントなどを販売し、ランナー界に影響力を持つ企業「サウルスジャパン」(大阪市)が協力。同社が、よりランナーの関心を引くべく、Tシャツや完走メダルのデザインをこれまでよりもスタイリッシュなものに変更した。
また、コンセプトを「猪突猛進で、自己ベストを目指せ。」とし、自然豊かな丹波篠山を駆けるランナーを「ワイルドランナー」と定義づけた。
各地に教室生を抱える同社のペースランナーが完走をサポート。新たに「自己ベスト更新賞」を設け、上位3人に同社のサプリメントなどをプレゼントする。制限時間を緩和して裾野は広げつつも、従来の「硬派な大会」というイメージは継承する。
お笑いコンビ「ぺこぱ」が来篠し、大会の様子を朝日放送「ぺこぱのまるスポ」で放送する予定。番組制作費は市内企業などから寄せられた企業版ふるさと納税などを充てる。
1980年に始まったABCマラソンは関西では老舗の大会。田園風景と地元住民らによるもてなしが好評を博し、コロナ前にはエントリー受け付け開始後、すぐに定員の1万人に達したこともある。しかし、東京や大阪、神戸に姫路などの都市型マラソンが誕生し、コロナ禍以降はエントリーが大幅に減少。近年は定員の半分程度になることもあった。
変革のきっかけは、これまでの実行委で出た意見の他に、前回大会に出場した、とあるランナーからの進言。定員割れにあえぐ大会の状況に胸を痛め、自ら改善点の資料を作成し、大会長である酒井隆明市長に直談判。サウルス社との橋渡しもし、協力を得られることになった。事務局の市教育委員会社会教育・文化財課は、「変わらないといけないと考える中で、とてもありがたいアドバイスだった」と感謝する。
さまざまな変更点が吉と出るか凶と出るかは、ふたを開けないと分からないが、同課は、「非日常の空間を走る都市型マラソンと競っても次元が違う。どこにABCマラソンの価値を感じてもらえるか、試行錯誤の面はあるが、とにかく変化をPRしていきたい」と気合を入れている。
エントリーは11月29日まで。定員に達し次第締め切る。参加料は1万円。リレーマラソンは1組1万2000円。インターネットサイト「ランネット」から。