丹波篠山市の認定新規就農者に 山口 司さん(丹波篠山市)

2024.12.01
たんばのひと

山口 司さん

実業家から農家へ転身

国内外で複数の事業を展開した実業家が選んだのは丹波篠山の地での農業。このほど、市から「認定新規就農者」に認定され、幅広い世代に人気のあるイチゴをメインに栽培している。転身はもちろん農業に可能性を感じているからで、「日本の農作物は海外でも人気が高く、輸出につなげることで外貨も稼げる」と言い、「いろんな事業をしてきたけれど、農業を選んだのは『達成感』があるから。安定生産と量産を目指したい」と力を込める。

奈良県出身。高校卒業後、中古車販売業で起業し、2店舗を展開した。その後、株式投資事業へ。香港で金融会社を買収・運営し、投資ブームに乗って成功をつかんだ。

世界約25カ国を巡って知見を深め、2016年からはモルディブで漁業関係の仕事やカフェを展開していた。そこに襲いかかったのがコロナ禍。海外との往来ができなくなり、事業を諦めざるを得なくなった。

はたから見ると成功者に見えるが、「稼いだ時期もあったけれど、ほとんど消えた。自分は1割バッターです」と笑う。

もともと明確な人生計画を立てており、20代は仕事で成功、30代は世界を巡り、40代は海外で事業、50代は農業をし、70代は事業を次世代につなぐ―としていた。コロナ禍でこの計画を10年早め、「農業に力を全振りしよう」と決意。県立農業大学校で栽培技術を学び、以前から心引かれていた丹波篠山で農業を始めた。

妻や友人の力を借りて挑む新たな事業。「丹波篠山はまちの雰囲気が好きで、観光資源も多く、勝負するにはもってこいの場所。たくさんの人に『おいしい』と言ってもらえるイチゴを作りたい」と意気込んでいる。43歳。

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