兵庫県丹波市内で多彩なボランティア活動に約25年励む92歳の細見和代さんが、同県社会福祉協議会から表彰を受けた。市ボランティア・市民活動センターに登録されている活動メンバーの中では最年長。小中学校の教員を退職後、「一般社会のことを勉強しよう」と決心し、精力的に活動するうちに人とのつながりが増え、いつしか「生きがい」になった。「活動に協力し、支えていただいた皆さんに感謝の気持ちでいっぱい。最高の喜び」と顔をほころばせた。
同町のボランティアグループ「あじさい」のメンバーとして活動し、代表も長年務めた。同町の「おかの花」など3つの老人福祉施設で利用者の介助に協力。レクリエーションでは「しゃべるだけでは物足りない。歌えば元気になる」と、大きな紙に歌詞を書いて「懐メロ」を合唱し、楽しませた。
また、丹波新聞の記事などを朗読して機器に録音し、視覚障がい者に情報を届ける活動にも尽力。本の読みきかせで幼稚園や小学校にも出向く。幼い頃から好きだった百人一首に親しむグループも立ち上げた。
活動を続けるうちに、細見さんの活動を知った人たちから「うちでもやって」と声をかけられるようになり、自然と活動の場が広がった。「やろうと思ったことは徹底的にやりたい性分。『楽しい』と感じ、ずっと活動に参加してくれる人の期待に応えたかった」と振り返る。
代表を務めたあじさいは、メンバーの高齢化が著しく、今年度で解散を余儀なくされた。「やめた途端に体のあちこちが痛くなった」と苦笑し、「社会貢献というつもりはなかったけれど、いつの間にか社会とつながり、自分の生きがいになっていた。面白い人生」とほほ笑む。
「人生百年時代と言われる。老いを生きる意味を考えながら、余生を謳歌したい」と話す。