生きざまと作品に感動
丹波市柏原町出身の彫り物師、初代磯尾柏里(1890―1969)の生きざまと作品に感動したのをきっかけに、初代柏里をもっと多くの人に知ってもらおうと、「初代磯尾柏里再発信プロジェクト」と名づけた活動を展開している。大阪府吹田市の在住だが、一昨年からたびたび丹波市を訪れ、市内小学校で特別授業を行うなど積極的に行動している。
貧苦と戦いながら独学で彫り物を極め、晩年には県文化賞を受けた初代柏里を10年ほど前に知り、定年退職を機に同プロジェクトの活動を始めた。柏里を知るきっかけとなった本「磯尾柏里伝」を紙芝居風にした動画を作成し、ユーチューブで配信。彫り物師になりたいという子ども時代からの夢を追い求め、困難に出合おうとも屈しなかった柏里のことを、児童に伝えたいと市内の小学校に働きかけ、昨年度は6校で特別授業を実施。今年度も7校ほどで予定している。
平和を願う思いを作品に込めたことも児童に紹介。児童からは「平和への気持ちが強いことに感心しました」「夢を実現するため、あきらめなかったことに感動しました」などの感想文が寄せられ、「これは私の宝物です」とにっこり。
柏里の生涯をテレビドラマ化できないかと考え、NHKや民放5局に提案もした。反応がなかったが、関係者に投じた一石も引き金になって来年、植野記念美術館で初代柏里展がおよそ30年ぶりに開催される見込みになった。
「プロジェクトでは、初代柏里の作品の常設館開設も目標に掲げています。展覧会をきっかけに開設への機運が高まれば」と願っている。63歳。