兵庫県立氷上高校食品ビジネス科の3年生8人が課題研究の一環で、同校で生産した食材を生かし、塩こうじ味のサラダチキンを開発した。原材料は塩以外、全て同校産。業者の力も借り、うまみの成分や柔らかさを数値化する細かな実験を重ね、商品化にこぎつけた。2月2日午前10時から地元の西山酒造場(同県丹波市市市島町中竹田)で開かれるイベント「今朝思慕里直売会」で販売する。
塩こうじ味のサラダチキン開発は、市内で親しまれる清酒用のこうじ菌を使う可能性を広げたいと、昨年度の卒業生が始めた。2年時に発表内容を聞き、感銘を受けた8人が引き継いだ。
鶏肉は同校で飼育するブロイラー、塩こうじの米は同校産のコシヒカリを使用。塩こうじは大阪の種こうじメーカーに、清酒用のこうじ菌をベースに独自に配合してもらった菌を使った。
米こうじが造れる校内の製麹機を使い、原料のデンプンを糖に変えて消化をサポートする「糖化力」と、食肉を軟化させる「プロアテーゼ」の生成量のバランスが良くなる理想の製造温度を割り出した。
その後、理想の製造温度を踏まえて造った米こうじと鶏肉を携え、最新の実験設備が整う東洋食品工業短期大学(同県川西市)を訪問。実験により、一般的に販売される米こうじと比べて、同校で製造した米こうじを漬けた鶏肉の方が、うまみが増し、食感が柔らかくなることを数値で証明した。加工は「篠山ハム」(同県丹波篠山市野中)に依頼した。
研究内容は、昨夏の県学校農業クラブ連盟大会のプロジェクト発表会で優秀賞を受賞。同校の文化祭「桃陵祭」や、春日町の道の駅「丹波おばあちゃんの里」でも販売した。
男子生徒は「肉の柔らかさの分析が特に大変だった。硬すぎず、柔らかすぎず、ちょうど良い食感に仕上がった」と話していた。
「今朝思慕里直売会」では数量限定で販売する。225―355グラムで380―600円。