兵庫県丹波篠山市西町の交差点そばでデザイン事務所を構える「MUON(ムオン)」が開発したフォント(デジタル化した書体)が、世界的ソフトウェアメーカー「Adobe(アドビ)」に採用された。「ドォォン」「ボカーン」といった少年漫画に使われていそうな効果音をフォントにしたもので、フォント名は「ショウネン オト」(「少年 音」)。ムオン代表の吉嶺良則さん(41)は、「漫画やポスター、動画といった、さまざまな媒体のデザインに迫力を求めたり、軽快さを表現したりするときに『ショウネン オト』を使ってもらえたら」と話している。
アドビに180種以上のフォントを提供している朝来市のフォントメーカー「ウェブフォントジャパン」と共同開発。漫画家でありデザイナーでもある吉嶺さんが約8カ月かけて描きおろし、ウェブフォントジャパンが、アドビで運用できるようデジタルデータ化した。
ひらがな、カタカナ、アルファベット、数字、記号からなる全358文字を、紙の上でペンや筆を使って描いた。手描きにこだわった理由に、「線のゆらぎに迫力を出すことができる。少年漫画の雰囲気を感じてもらいたかった」と話す。
漫画愛読者の中で主流になりつつある、スマートフォンやタブレットなどで縦スクロールで読むデジタル漫画「ウェブトゥーン」の編集作業に携わった吉嶺さん。韓国漫画を日本版に変換するにあたり、さまざまなシーンに描かれている韓国語の効果音を日本語に置き換えるとき、既存のフォントに表現のしづらさを感じていたという。「今後も少年漫画以外に、ホラー漫画や恋愛漫画などのイメージを想起させるようなフォントを作っていきたい」と意欲的に話していた。
「ショウネン オト」は、イラストレーターやフォトショップなどのアドビ製品に組み込まれているほか、フォント・書体販売サイト「designpocket(デザインポケット)」で購入することができる。