四季折々を楽しもう 豊かな森目指し汗 森づくりは地域づくり

2025.04.09
丹波篠山市地域自然

樹木に名札を付ける岩崎山の会のメンバー=兵庫県丹波篠山市岩崎で

兵庫県丹波篠山市岩崎自治会の住民有志でつくる「岩崎山の会」(酒井克典会長、約10人)は、同地区の山(約1ヘクタール)で3年前から生物多様性を意識した森づくりに励んでいる。「四季折々楽しめる森をつくろう」と年間3、4回、山へ入り、不要な木を切ったり、コナラやクリ、サクラなどを植樹したりしている。

森林施業を行っている森は、以前はヒノキの植林地だった山の傾斜地。過去に皆伐したが、それ以後、笹や雑木が生い茂るやぶになっていたため、丹波篠山市の里山彩園事業の助成を受けて2023年度から取り組みを開始。里山づくりアドバイザーで、森林インストラクターの維田浩之さん(66)=同県養父市=からアドバイスを受けている。

3月20日に行った作業は、維田さんから自生する木々の説明を受けながら樹木に名札を付けたほか、不要な木を伐採したり、モミジの苗木を植樹したりした。

「自生する木を知ることが、どんな森にしていくかを考える第一歩」と、山を散策。モクレン科の落葉樹タムシバの前で維田さんは、「この木をコブシと呼ぶ人が多いがそれは間違い。その昔、この木の枝を歯ブラシ代わりに使っていた。『かむ柴』が転じてタムシバになった。爽やかな香りがする」と解説した。また、「皆伐した山にわれ先にと生えるアカメガシワやカラスザンショウは繁茂するので、ある程度は切った方が良い」などとアドバイスを送った。

会員たちは、施業地にタムシバの幼木がたくさん育っていることを知り、「春はこの白い花を愛でながらお花見が楽しめる」と目を細め、山菜として人気の高いウコギ科の落葉樹タラノキ、コシアブラも数多く自生することから、「眺望の良い山の上で山菜パーティーというのも面白い」と笑顔を交わしていた。

酒井会長は、「山菜を採ったり、気軽に散歩ができたりして、さまざまな動植物も暮らす森に育てていきたい。楽しみがある山になれば、住民の皆さんも山に関心が出てくる。豊かな森づくりは地域づくりにもつながるのでは」と話している。

関連記事