滞在しながら創作 空き家活用し移住促す 利用者を広く募集

2025.04.14
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創作活動ができる母屋で「クリエイターinレジデンス」の経過報告などを行う加藤さん=兵庫県丹波篠山市中で

兵庫県丹波篠山市大芋地区の中集落にある古民家を活用した「クリエイターinレジデンス」が3月22日、オープンした。芸術活動やものづくりを行う人が、地域の行事、日役などに参加するなど住民たちと交流しながら滞在する施設で、大芋活性化委員会の事業。ものづくり活動をしていて、集落の行事、事業にも理解のある人を対象に利用者を広く募集している。1年以上の長期滞在を想定している。同日にはオープニングセレモニーが行われ、集落の住民らが参加し、自治会の活性化につながることを期待した。

オープンした「クリエイターinレジデンス」に生まれ変わった旧家前で行われたセレモニー

所有者の女性(74)の実家で、築100年以上の古民家。2000年から空き家になっていたが、定期的に建物に風を入れたり、周囲の草刈りをしたり、花を植えたりと管理は続けていた。

かやぶき鉄板屋根の木造の母屋(137平方メートル)、離れ、土蔵がある。離れは比較的新しく、そのまま住める状態で、古い母屋もよく手入れがなされ、床など一部を改修する程度で済んだという。離れで生活してもらい、広く開放的な母屋は創作活動に適していると考えた。

同活性化委が空き家を有効活用して移住促進を目指す目的で設立した「大芋空き家守り隊『YAMORI』」が所有者から物件を借り、管理、活用を担う。

セレモニーでは、YAMORIの加藤俊希さん(31)がオープンに至る経緯を説明し、「クリエイター対象ということでハードルは高くなるかもしれないが、集落にとっては面白いことが起きるのではないか」と期待感を語った。

所有者は、家の整理をしていると、棟上げの時の記録が出てきたと紹介し、自身が子どもの頃、子育て中、孫を連れて遊びに来たこと、そして親の介護など、この家で過ごした日々を振り返りつつ、「年齢とともに管理も負担になってきたので、どうしようかと思っていたところに声をかけてもらい、うれしかった。この家が少しでも地域の活性化につながることを願っている」と話していた。

「YAMORI」はこれまでに、地区内約60軒の空き家所有者に意向調査を行い、その約7割から「活用してもらったらよい(賃貸、売買)」との声を得た。今回の古民家もそのうちの1軒。県と市の「持続可能な生活圏」形成支援事業の助成を受け、丹波篠山暮らし案内所と連携しながら、移住相談や空き家の有効活用を進めている。

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