わくわくどきどき届ける
熱して柔らかくした透明の水あめが見る見るうちにカラフルな動物、魚、鳥などに形を変える。あめが硬くなってしまうまでが“勝負”で、その間、約3分。目を輝かせながらその様子を見守っていた子どもたちに笑顔がこぼれる。
2019年、西宮神社の「十日えびす」に家族と参拝した際に見た、あめ細工師の技に思わず足を止めた。「何が出来るのかとわくわく、どきどき。子どもも一緒に引き込まれた」
すぐに教えてくれる師匠を探し、当時、大阪で活動していた石割定治さんに師事。夕食の後、台所で毎日のように練習を重ね、「あめの熱で指先の皮は全部むけた」と笑う。1年をかけて師匠の“卒業試験”をパス。現在は丹波篠山市内のイベントを中心に子どもたちに「わくわく、どきどき」を届けている。保護者も興味津々で、昔を懐かしむ年配者も多いという。
昔ながらの手法で、使う色粉は天然由来の赤、黄、青の3色のみ。形作るモチーフの“お腹”にあたる部分に空気を入れて膨らませる。ストローに真ん丸の水あめを刺すところから始め、猪、豚、ウサギといった基本的なものから、オリジナルのクラゲ、ネッシー、カメレオン、タコ、花などモチーフは30種類に及ぶ。来場者の多いイベントだと1日に80個以上作ることもある。
「ゲーム以外にも、わくわくすることや感動できることはある。今の子どもたちにはもっといろんなものに触れ、想像力が豊かになってほしい」と願う。練習中のころも、子どもたちが目を輝かせている姿を想像し、モチベーションにしていた。「おばあさんになっても、子どもたちに夢を与え続けたい」。53歳。























